2008年4月 4日 (金)

病気の本体は何処に

 昨日入院した5ヶ月の女児。前日から39℃の発熱あり、咳無し、鼻水なし、発疹なし。哺乳は徐々に少なくなって来ていた。

 「こいつは嫌だ。やばい。」と血液・尿・髄液を培養とともに検査すると、炎症反応はとても高くなっていたが、ここといった感染のfocusが同定されない。こういった場合尿路感染症が一番起こりうることなので、超音波や腎シンチグラムまで行った。しかし確証には至っていない。心臓もエコーで確認したが、心筋炎を含め異常はなさそうだ。

 さて、一体何が隠れているのか。正体はなんなのか・・・嫌な週末を迎える。

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2008年1月30日 (水)

カタログ

 先日の記事で紹介した鼻チン検査キットのカタログとテストセットが来た。

 やはりちょいと感度は落ちるようだが・・・・どうも通常のキットでも同じことなのではないか?ということで鼻チンでこれからはチャレンジしてみる。実はこれまでも兄弟がインフルエンザに罹っていて、本人も昨夜から高熱が出てきたという子供で鼻刺しを嫌がる子供に鼻チンをしたことがある。もちろん陽性反応は出るので、結局はウイルス量次第だと判ってはいるのだが・・・

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2008年1月24日 (木)

鼻グリグリは痛いよね

 インフルエンザの季節である。一時罹患者数は冬休みと共にドンと減少していたが、再び勢いを増してきている。昔はインフルエンザの診断といえば臨床症状として急な高い発熱や関節痛、悪寒そして口腔内の発赤状況などからそう類推する他なかった。それが7,8年前に簡易型検査キットが出来たおかげで、客観的に診断できるようになった。

 この簡易検査キットは経験された方も多いと思うが鼻に細い綿棒をグリグリと挿入するのでちと痛いのが難点であった。特に子供など押さえつけて採取する他なく、泣き叫ぶこととなるのだ。鼻をチンとかみ、その鼻汁で検査できれば良いのにと思っていたところようやく発売に漕ぎ着けた会社が現れた。まだ陽性率などどれくらいか調べる必要は残されているが、子供達にとっては朗報である。早速本年度からといきたいところだが、あとは病院検査&事務サイドの判断となる。遅くとも来年にはこのキットでいくことになるのだろう。

 本当に使えそうならまた記事を書きますので乞うご期待。

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2008年1月16日 (水)

我慢しないでね

 先日頸部リンパ節炎で紹介入院となった女児。頸部のリンパ節腫脹と疼痛、おまけに5日以上の発熱があり内服の抗生剤が効かず目も腫れぼったいとなれば、川崎病やEBウイルス感染をまずは疑ってしかるべき、ということで紹介で外来へやってきたその場で腹部エコーを施行した。肝臓や脾臓の具合を確認しておくためであるが、そちらは問題なかった。それよりも驚いたのは膀胱である。通常の膀胱の位置でエコーのプローベ(エコーの波を出し、戻ってきた波を感知するところ)を身体に対し横向きに置いたところまでは普通であった。しかし縦向きにしたところ膀胱の頭側の境目がない・・・・エコー波をおへその方へ振っても境目が見当たらない・・・・どうも臍下まで膀胱が広がっているようなのだ。

 とりあえず入院し、点滴で抗生剤を落としてみた。抗生剤への反応はすこぶるよく、すぐに解熱し、頸部リンパ節の症状も消失してしまった。点滴で水分を通常よりやや多めに摂ることになるため、おしっこには頻繁にいくのが常である。しかしこの子は一日トータルで3回だけなのだ。そこで1回量を量ってみた・・・・4歳で平均の身長の女の子だから、120~150ml くらいが普通だろう。しかし・・・・お母さんから「はかりからあふれちゃいますぅ!!」との悲鳴が聞こえ、なんと500ml over。

 なにはともあれ、頸部リンパ節の問題がなくなってから検査をしましょうと伝えることとなった。聞けばこれまでパンツが日中濡れていることがあったとのこと。でもおしっこのようではなかったともおっしゃっていた。尿の浸透圧も低く、尿そのものの量・質の問題もあるかもしれない。しかしまずは膀胱の機能などを確かめる必要がある。とりあえず2時間ごとに排尿を促すよう指導し、後は外来で見ていく他はない。それにしても溜めすぎである。本人にしてみれば今や我慢しているとかそういった状況ではないのであろうが・・・

 頻尿はわかりやすく、親御さんも連れて来やすい。しかしこういった尿回数の減少は幼稚園など行ってしまえばわかりにくいものだ。そうそうあることではないが、最低でも5回以上は排尿していることをたまに確認するのも悪くなさそうだ。

 

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2008年1月 9日 (水)

多国籍軍

 英語でのみコミュニケーションのとれる家族がこのところ数ヶ月にわたり外来通院している。今のところ2家族だけであるが、今後この人達が連れてくる可能性も考えると本気で英語での診療を考えなくてはならない時代になったと言える。

 それでも日本に来ている海外の方は、とてもコミュニケーションが上手い。相手のことを判ろうとするし、自分のことを伝えようとするから本当によく判る。私の拙い英会話でも、十分に言葉のキャッチボールが出来るので、最初は身構えていたが、今は良い友と話しをしている気分になる。

 その内の1家族と午後話しをし終わったところで、予防接種当番へ切り替わった。数人インフルエンザのワクチン接種を終えたら、次の名前が?&★#$・・・誰?何人?診察室に入ってもらうとお母さんは日本人であったため胸をなで下ろした。聞くとお父さんはバングラディッシュ人とのこと。生後5ヶ月になった双子を連れてバングラディッシュに帰るのだという。衛生事情がよくないので、是非ともワクチンをしっかり受けて行きたいとのことで、三種混合ワクチンを接種しにいらっしゃった。

 「向こうは蚊が多くて、不衛生で大変なんです。」とお母さん。そりゃそうだろう、日本脳炎類縁のウイルスもいると聞くが、こちらで手に入るワクチンは無いと話すとがっかりされていた。来月までに出来る限りのワクチンをと希望されていたので、来週三種混合ワクチンをもう一度接種し、その1週間後にポリオを受けてもらうこととなった。

 本当に日本のことだけ考えていられる時代は終わったのだ。近隣諸国の医療事情も知っておかなくては、良い医療を提供することなど難しい。需要があれば、それを供給するのが我々の使命であろう。

 どんどん勉強しなくてはならないことが増えていく。それも楽しいのではあるが、気を引き締めねばならない。

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2008年1月 7日 (月)

川崎病

 先日からの川崎病の患児の経過が芳しくない。

 川崎病は原因不明の全身の血管炎である。主要症状として発熱・リンパ節の腫脹・眼球充血・口唇舌の発赤、変化・発疹・四肢の硬性浮腫というものがあり、そのうち5項目以上を満たした場合川崎病と診断する。日本の川崎先生が発見したこの疾患は世界中で認めるものだが、特に日本人に多い。症状は血管炎に伴うもので、予後は心臓の筋肉に栄養を送る冠動脈という血管に瘤を作るか否かで決まる。治療はアスピリンを内服の上、γグロブリンという蛋白製剤を使用するのが第一選択である。このγグロブリンに反応しないタイプはやっかいで、治療に難渋することとなる。

 原因が定かでないので、治療の何が功を奏しているのかそれもハッキリしない。しかしなんらかの影響でcytokineが誘導され、血管内皮で変化が起きているのは間違いない。それをいかに抑制しうるのかというところが鍵になる。

 本患児は2年前に川崎病に罹患し、このときはあたかも劇症肝炎を呈したのかと思うほどの肝トランスアミナーゼの上昇を見た(GOT 4000, GPT 4500)。一回目のγに不応で、ステロイドパルス後再度のγで落ち着かせた経緯のある児である。今回もγに全く反応せず、ステロイドパルスを施行したものの、全くcytokine stormが抑えられず、現在再度のγグロブリンを施行している途中である。これで反応がないとすると、ステロイドをもう一度パルスしていくか、はたまた血漿交換に打って出るべきかというところであろうか。好中球の遊走を抑制するウリナスタチンも併用しているが、全く反応してくれないのだ。

 ただ今回は劇症肝炎というような値は示さず、しかも冠動脈も現在発熱開始10病日であるが変化していない。まだ時間的な余裕はあるだろうか、次なる手を探らなくてはならないと思っているところである。

 それにしても一筋縄でいかない児だ・・・

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2008年1月 6日 (日)

一息

 年末は仕事納めの28日の病院勤務を終えた後、救急診療所の当番を朝まで行った。それから家族を連れて田舎へ新幹線で帰り、元旦には同じく新幹線でこちらへ戻った。2日からは病院に缶詰。3日には救急当番。4日の仕事始めは外来患者さんも3時間待ち。5日の土曜日も外来を開け、夕方からは救急当番をこなした。さずがにちょいと疲れた。それにしても年末年始にほぼ毎日救急当番を買って出ていた某大学教授の体力・気力はどうなっているのだろう・・・

 病棟は川崎病の子供達を含め、満症状態が続いている。川崎病の一人は、γグロブリンという蛋白を大量使用してうまくいかず、ステロイドのパルス療法も施行したが反応は今ひとつという状況で、さてこれからもう一度γグロブリンを使うか、使うにしても効かないなら血漿交換に持っていくべきかなど思案のしどころとなっている。幸いシビアな呼吸器疾患などがいないため、じっくり治療に当たることが出来てはいる。

 とりあえず、今日はちょっと一息入れ、明日からに備えることにしよう。きっと外来は大混雑を来たし、入院も満症をねじ込むように入っていくことだろうから。

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2007年12月27日 (木)

そんなの関係ねぇ~

 3歳男児。先日から発熱はないが、咳がひどいとのこと。ジスロマックというマクロライド系抗生剤を処方したが、苦いため全く飲まず、咳が止まらないと再来院した。レントゲンで両側肺に異型性肺炎を認め、この薬をするのが妥当と判断してのことであったが、飲まないものはすぐには治らない。確かにこの薬、激しく苦いためバニラアイスに溶かした瞬間に飲むよう指導するくらいなのだが・・・

 母 「あんたが飲まないからひとつも治らないんでしょ。先生に飲みますって約束しなさい。」

 私 「飲まないとこれから熱が出て、苦しくなっちゃうぞ。そしたら入院してチックンだ。」

 児 「ふ~~ん、でもそんなの関係ねぇ~、でもそんなの関係ねぇ~、でも・・・」

 私 「でも関係おおアリだ~、でも関係おおアリだ~、でも関係おおアリだ~、ハイ、ノ・ミ・ナ!」

 児 「でもでもそんなの関係ねぇ~、でもそんなの関係ねぇ~、でもそんなの関係ねぇ~。」

 母 「なにバカなことやってんの、ちゃんとしなさい。」

 児 「でもそんなの関・・・・」

 残念ながら最後まで抵抗し、数日後入院加療になってしまった。もともとマイコプラズマ肺炎はゆっくりではあるがセルフリミテッド(勝手に治る)ものが多いので、サポート治療だけでもよくなることが多い。彼も去痰剤の吸入などでよくなって帰っていった。

 3歳児まで・・・小島よしお、おそるべし。

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2007年12月22日 (土)

大丈夫かいな

 昼に入院したRSウイルス感染の1歳児の状態が思わしくない。元々両親に喘息があり、それも災いしているのか、呼吸状況が悪い。やることはすべてやった。後は挿管して人工呼吸とするかどうかだ・・・

 先週から外来は戦場のようだ。冬場はいつもそうであるけれど、じっくり考えたり話しを聞いたりなど許されない状況に陥ってしまっている。本意ではないが、待っている患者さんを思うとそうする他ない。それでもって状態の悪い人は次々と入院していく。小児科医が3人しかいない我々に担当できる入院患者数など限られている。しかし近隣はどこも満床である。受け入れてもらえないのなら自分たちでなんとかするしかない。

 暇をなんとか見つけて、クリスマスコンサートは行うことが出来たが、本当なら誰か代わりに指導者として雇いたいところであった。弱音などクソ食らえと思っているが、身体が弱気になっている。(本気で歌えている時は至福ではあるけれど)

 これでインフルエンザが蔓延しはじめたらどうなるのだろう・・・それでも今日で学校が終わってしまったので、おそらく流行もストップするのだろう。ノロウイルスを始めとした嘔吐下痢も一段落してくれると良いのだが。このまま増加すると外来の点滴ブースは野戦病院になってしまう。痙攣も毎日救急車で運ばれてくるが、とりあえず脳炎・髄膜炎の類がいないのは不幸中の幸い。本当に気の抜けない日々が続く。

 さてもう一度病棟へ上がるとするか。

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2007年10月27日 (土)

取り切れた!!

 先日から記事にしている頸部の脊髄腫瘍の児のことである。昨日千葉大から専門家を呼び、摘出術が行われた。予定時間は15時間。日付が替わってから帰室するであろうと思っていたら、わずか9時間で戻ってきた。癒着なくポロッと取れたとのこと。出血も微々たる量しかなく、何より麻痺なく戻ってこられたのだ。

 考え得るなかで最も良い結果で終わった。喜びで小躍りするどころか呆気にとられると言った方が近かったであろう。さすがに夜中は不安や髄液漏などから痛みが出てきて、鎮静&鎮痛剤が必要となったが、今朝はスッキリ「う~~ん、暇。」などとぬかしているのである。

 いやはや、本当によかった。

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2007年10月24日 (水)

低身長

 16歳の男性。身長が155センチで、これまでずっと最前列をキープしていた。そろそろグンッと身長が伸びるだろうと期待するうちにここまできてしまったと来院してきた。手の写真を撮ると、年齢相応・・・骨端線はまだ閉じてはいないので、数センチならあるかもしれないが・・・

 聞くところによると中一の時に身長のことが気になって、医者にかかったことがあるが、そのうち伸びるよと言われたとのこと。成長曲線をプロットしてみたところ、確かにその先生の判断も間違いとは言えない。ただその時に骨の年齢を観察したか、ホルモンの出具合を確認してくれていたら、もしかしたら彼の身長も変わったかもしれない。しかし今となっては遅いのだ。

 自費でもよいから成長ホルモンを打ちたいと話す家族ではあるが・・・効果は数センチであるし、無茶苦茶高いので、もちろん薦めない治療だ。

 もし母子手帳に記載されている身長のグラフで、平均の幅に入っていないかもしくは平均のギリギリ下のラインを進んでいる子供、急に身長が伸びなくなった子供がいたら早めに相談して欲しい。こればかりは早くないと意味がないのだ。

追記:犬と猿さんのコメントでこの記事の足りない事が判明したので記す。男性の場合156センチをもって成長ホルモンの保険適応は終了する。それ故望む限り打ち続ける事ができるわけではない。また成長ホルモンを使う事により、骨の年齢が急激に進み、結局伸びなくなる時期を早めることもある。打ち始める年齢や親の身長によってまちまちであるので、全部うまくいくわけではないのが、この治療の難しいところである。当患者もおそらく成長ホルモンは分泌していたはずであるが、母親も父親も160センチを越えていることから、ホルモンの出方が少なかっただけである可能性が高い。

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2007年10月20日 (土)

タミフル使用は

 昨日の続きである。

 私は治療効果と予後という観点から、タミフルなど服用する患者さんを制限してきた。免疫力も高く、自分で自分の症状を表現できるようになる学童以上では原則として使用しない。しかし受験を控えているとか、年寄りや乳幼児を抱える家庭である場合、インフルエンザ感染につき詳しくお話ししてから投与するかどうかを親と一緒に考えてきた。もちろんそういった家庭の場合は、流行する前にワクチンを接種すべきということもお話ししてきた。

 タミフルの薬禍と騒がれている昨今の事例を見返すと、結局本当に必要なのか疑わしい年代に使用されていることがわかる。いたずらに怖がる必要はないが、服用する必要性も低いので、10歳以上は原則服用しないこととして差し支えないだろう。ただし受験生はワクチンをうっていても、加湿やうがい・手洗いなど気を付けていても罹ってしまうことも多いにありうる。症状を和らげるタミフルを服用してはならないのかと問われれば、他の受験生への感染も考慮すると使用可としたいところだ。そこを一律10歳以上は禁止とされると困ってしまう。

 また症状を和らげる方法が他にないかというと、解熱剤を使用するなどの方法が挙げられる。ただしインフルエンザに解熱剤を使用すると身体の中でサイトカインという免疫反応が過剰反応を起こし、それにより命を落とすことがあることも知られている。従って強力な解熱剤の使用は控えられ、古くからあるアセトアミノフェンという薬を使用するよう薦められてきた。これは原則として守るべきであろう。なによりインフルエンザウイルスそのものと戦っている証拠が発熱であり、熱によりウイルスの働きを押さえ込もうとしているのも人体の正常な反応であるのだ。躍起になって解熱させようとするのは逆効果である可能性が高い。むしろ熱は少し上がる可能性があるが、麻黄など漢方を使用する方法がある。人体をウイルスと戦いやすい状況にしてくれると考えるならば、よい処方だと思う。

 咳止め、鼻水止めは症状を和らげた方が呼吸がしやすいのであれば、使用をしてもよいだろう。しかしあくまで補助であり、治す薬ではない。抗生物質も必要はない。幼児や高齢者で肺炎を併発した場合、細菌感染か否かを見定めてから使用すればよい。

 ということで長々と述べてきたが

① タミフル使用は幼児と高齢者に説明の上行う。

② 受験生や幼児・高齢者を抱える家庭ではタミフル又はリレンザを考慮してもよい。

③ 解熱剤は強く良く効くものを求めず、より安全なものを使用する。

としたい。ちなみにこれらは昨今のタミフル薬禍報道以前から変わらぬ診療方針である。

 ご質問があれば、どうぞ。 

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2007年10月19日 (金)

インフルエンザ

 隣町である八千代市で早くもインフルエンザによる学級閉鎖がなされた。これまでにない早期での学級閉鎖に皆驚いている。まだまだワクチン接種も始まっていないところが多いはずだ。警戒しなくてはならないだろう。

 さて昨年から今年の話題と言えばタミフルというインフルエンザの特効薬をどう使うのか、それとも使うべきでないとするのかということであろう。これについては折に触れ述べてきたが、再び書いておくこととする。

 まずインフルエンザは普通の風邪より症状が激烈で、大人でも高熱もあって起きていられない程のウイルス感染となることが多い。また身体の免疫機能を攪乱させることもあいまって、脳症など非常に重篤な状況を引き起こすことも知られている。

 予防はワクチン接種の他、お茶うがいや手洗い、部屋の加湿などが有効とされている。加湿という点ではマスクも効果があってもよいと思われるが、あまり効果はないとする報告も多い。

 診断には簡易キットがあり、発熱してから半日ほど経過した鼻腔粘膜で検出できるようになる。従って発熱直後に医療機関を受診しても診断がつかない場合が多い。

 治療はオセルタナビル(タミフル)やザナルビル(吸入リレンザ)という薬がインフルエンザウイルスの増殖を司るノイラミニダーゼを阻害するということで、有効性が示されている。アマンタジンもA型のみ有効とされていたが、耐性ウイルスが半数以上を占めるようになり、今後は期待薄である。前者は増殖を抑えることで奏功することから、増殖しきってからでは効果はない。それ故、インフルエンザに罹患して48時間以内に服用する必要がある。ただし服用しても高熱の持続期間が1日短いだけであるとか、倦怠感が少し薄らぐといった報告はあるが、服用して直ちに解熱するというものではないことも理解しなくてはならない。脳症の予防効果もどれほどあるのかは明確な答えが無いのが実情である。

 予後は脳症や肺炎などを併発する年少児や老人を除くと、極めて良好である。ちなみに脳症の発生は毎年100人前後であり、インフルエンザ罹患者数1000万人に比し、非常に少ない。ウイルス感染症の中では重篤となる率は低いものではあるが、広く容易に感染するということから重大な感染症であることは疑いようがない。

 ではインフルエンザの薬はどうやって使用すべきだろうか。昨年からとりだたされるタミフル薬禍という言葉であるが、私は現時点で適当ではないと考えている。なぜならばインフルエンザ罹患それだけで異常言動が起こりうることは、インフルエンザ罹患者を見てきた医療者なら皆知っているからである。タミフル内服に限ったものと言うのはいかがなものであろうか。それより、タミフルを必要とする人に投薬されているかが問題なのではなかろうか。続きは明日。

 

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2007年10月10日 (水)

アレルギーの季節

 毎年春先と秋口はアレルギー疾患患者数が激増する季節である。

 今年は割と夏の暑い時期にも妙に喘息患者さんが来院する機会が多かったように思うが、それでもここ数週の朝方の冷気に誘われて倍々と増えてきている。

 印旛沼のほとりには秋のアレルギー源として悪名高いアキノキリンソウが毒々しい黄色を天高く伸ばしていた。

 皆様ご注意を!

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2007年10月 9日 (火)

本物だった

 先週記事にした児のことで気がついたら1週間過ぎていた。痛み発作は夜間に留まらず、痛み刺激がトリガーとなって情動失禁が起こってしまい対応に苦慮することになったのだ。

 本態はわずかな右上肢の筋力低下と腹壁反射の鈍化があり、MRIにて脊髄腫瘍(おそらく神経鞘腫)が発見された。今後は小児科ではなく、整形外科で治療を行ってもらうことになる。しかも当院ではできないことなので、他院に紹介させて頂くことになりそうだ。

 

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2007年10月 2日 (火)

夜間発作性肩頸部痛

 9才の女の子。数ヶ月前から眠り始めて1時間くらいに発作性に肩から頸、背中に激烈な痛みが出現し、転げ回るとのこと。整体でよくならず、近くの医院で痛み止めをもらったところ、痛みが出てから飲ませると少しよくなるが、痛みの出現そのものは毎日抑えられないらしい。

 表面的には極めて普通の女の子。面談でもハキハキと応え、視診・触診でもなにもない。唯一若干ではあるが、右利きという割に右の握力が弱く、腕を挙げる力も弱い気がした。レントゲンや心電図では異常なかったが、脳波を計測中にその発作が起こった。このときは過換気様であった。脳波所見が手元に戻ってこないので、なんとも言えないが、てんかんなども考慮しなくてはならないだろう。

 さて一体この子の痛みの本態は何なのだろうか?

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2007年9月21日 (金)

ツンデレは効くな~~

 2年半前からネフローゼでフォローアップしている5才の女の子。

 これまで幾度となく採血など痛い思いをさせてきた。そのため外来で顔を合わせても

「プイっ」

「ベェ~~」

以外の言葉を聞いたことがない。機嫌が悪いわけでもなく、笑顔で看護師達と談笑するにもかかわらず、私と対すると途端に上記の言葉を浴びせかけるのだ。まあ私も本気になって困った顔をするわけでもなく、

「またぷい~~っか・・・元気ならいいよ!」とかわしてきた。ところが昨日は違ったのだ。

 診察の前に診察室の隣の計測室で身長と体重と血圧を確認していた。外来診察が途切れ、彼女の声が聞こえたので計測室を覗いた。すると私をみつけた彼女は

「先生、これ!」と家で書いてきた絵手紙を渡してくれたのだ。うれしさに飛び上がり、ありがとうと握手を求めたところ

「いや!」

と言い後ろを向きながら、チラッとこちらを伺うのだ。

 彼女が帰った後、絵手紙を見返す私を見て看護師達がクスクス笑った。

「先生、初めてラブレターもらったみたいな喜びようですね。」

 そりゃそうだ。この2年半、「プイっ」しか聞いていなかったのだから。

 しかし・・・こういうことを繰り返し、悪女が出来上がっていくのだろうか・・・それにしても効くな~~

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2007年9月14日 (金)

こりゃ!

 ばあちゃんと現れた中学女子。

 時々ひどい頭痛がするとのことで以前来院し、パソコンのしすぎで肩凝りと眼精疲労として痛み止めと湿布を持たせ、パソコンは一日2時間までと言って帰したことがあった。しかし再び痛みが出てきたとのこと。でも診察室では笑顔を覗かせていた。

 前回の痛みはその通りしたらなくなり、もうパソコンはしていないと言う。ばあちゃんは「その代わり携帯でメールばっかりしてるじゃない。」とのこと。またかと背中に廻り後頭部から肩に掛けて少し押すと激しい肩凝りがあった。ほどほどにせいよと言いながら話しを聞いていると、少し喉がいがらっぽいと言う。覗くと扁桃にべったりと白苔が付き、赤く腫大していた。

「こりゃ~溶連菌感染だな。検査しておこう。」と迅速検査をするとやはり溶連菌の反応が出ていた。溶連菌の説明を一通り行い、抗生剤と湿布薬を処方しながら家人にも移る可能性があると伝えた。その時彼女の顔色が少し変化したように思えたので、

私「チューもだめだぞ。」

女子「やっぱり・・・○○も喉が痛いって言ってた。」

ばあちゃん「なに!△△ちゃん、○○君とそんなことしてんの?お父さんが聞いたら卒倒するわよ。」

私「いつ彼は痛いって言ってたの?」

女子「この間泊まったときだから・・・」

ばあちゃん「なに!!とっ泊まったの?!」

女子「やべ・・・なんで病院でばれるんだよ・・・」

私「あのね・・・まあ彼も連れておいで。」

ばあちゃん「もう先生どうしましょう。中学生が・・・あぁ~~~」

 思春期を扱うのは難しいのだ。

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2007年9月 7日 (金)

返事(前回の患児)

 紹介した患児について返答があった。先天性胆道拡張症であった(いなか小児科医さんに拍手)。

 恥ずかしながらこの年齢での胆道拡張症を見たことがなかったので、確信を持てなかった。肝臓のというより胆嚢壁や総胆管付近から出張っている嚢胞ではというところまでは推測したが、乳児期までしか見たことがなく、慌ててしまった。かの病院ではMRCPという胆道を映す画像診断がなされ、膵管の位置異常がありそうだということもコメントされていた。

 確かに教科書にもこの疾患は年齢が高くなるにつれ、嚢胞を形成しやすく、黄疸・腹痛・腹部腫瘤の3主徴を認めやすいと書いてある。

 日々勉強だ。精進せねば。

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2007年8月31日 (金)

これは何?

 生来健康で、元気快活な2才10ヶ月の男の子。2週間前に当院にやってきた。3日前から下痢が出始め、昨日は1度嘔吐もした。嘔吐はその1回のみで、水分も摂れていたので様子を見ていたら、熱と咳が出てきたので来院したとのこと。診察すると腹部は蠕動音がやや亢進していたものの、平坦で圧痛もなく、柔らかかった。むしろ喉の発赤と呼吸音にわずかだがラ音が混じっていたのが気になった。このときお母さんから

「ちょっと白っぽい便が混じっているんです。」とのこと。便そのものは持参しておらず、本人も今便意はないとのこと。季節を考えるとロタウイルス感染性下痢症は少ないが、ウイルス性の下痢で便が一時的に白っぽくなることは十分にあり得る。眼球の黄染や肝脾腫がないことを確認し、

「お母さん。時期的にはちょっと外れますが、おそらくウイルス性腸炎で白っぽい便が出ているのでしょう。それは食欲もあり、水分も摂れていて、しかも下痢もそれほどひどくないですから、整腸剤くらいで治まるはずです。むしろ胸の音が気になるので、レントゲンを撮らせてください。」と私は話した。結局肺門部陰影の増強と軽度のover inflationを認め、ウイルス性気管支炎を考え、去痰剤等を整腸剤と一緒に処方した。男の子は熱がありながらも元気に飛び跳ねながら帰っていった。

 昨日昼すぎに近隣の開業医から電話相談があった。

「眼球黄染と白色便の子供を診てもらえますか?」・・・・・その子だった。

 あの後3日も経たず解熱し、元気にしていたとのこと。しかし時々白い便が出ていたが、毎回ではないので様子を見ていたらしい。2日まえからちょっと目が黄色いように思え、少しだるそうにしているのでかかりつけの開業医へ行ったのだという。診察すると確かに眼球が黄染しており、右悸肋部が少し膨隆していた。しかし触っても圧痛はなく、柔らかい。超音波を当てると、肝内の胆管が腫大し、胆嚢と思われる5センチ大の水の袋が見つかった。

「えっ?総胆管の閉塞?この年齢でなぜ?しかし毎回白色便なら話しは合うが、時々っていうのは???」そう思いながら、急いで腹部CTのオーダーをした。すると腫大した胆嚢と思われたところには5センチ大の隔壁を伴う嚢胞があり、すぐ傍に小さな胆嚢がへばりついていた。おそらくこの嚢胞が総胆管を圧迫し、十二指腸への胆汁の流れを阻んでいるのだろう。それも完全閉塞ではないため、時々ということなのだ・・・しかし肝下面にこれだけの嚢胞というと元はなんだろう・・・・腎臓由来ではない、副腎としても腎臓との位置関係がいまいちスッキリしない、肝嚢胞でこれだけ出っ張るものは見たことがない、胆嚢壁由来?アメーバなどの膿瘍も考えるべきか??

 胆管閉塞の所見は血液データからも明らかだが、総ビリルビンが5.3、γGTP440を示すもそれ以外は思ったほどでもない。GOT 150, GPT200, LDH 300でアミラーゼも正常、CRPは陰性。もちろん凝固系や末梢血の異常も認めない。これは一体何物か??

 今すぐどうこうという値ではないが、小児外科のある病院へ搬送すべきと考え、両親にお話ししたところ、実家のある柏周辺でお願いしたいとのこと。早速知り合いのところへ電話し、入院精査を受けられるようにしてもらった。さて、結果はいかに。

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2007年8月 8日 (水)

疾患の季節感はどこへ・・・

 この時期小児科は検査入院に追われる。しかし冬場に比べて圧倒的に暇である。肺炎・気管支炎を筆頭にcommon diseaseが減るからである。エンテロ系といわれるウイルスが流行し、無菌性の髄膜炎などで入院したり、手足口病などで食事も水分ものどを通らないと入院してくることはたまにあるが、暇なのだ。

 しかしこのところどうもおかしい。

 先程入院した児はRSウイルスによる気管支炎であった。もともと冬になると乳幼児に猛威をふるうウイルスだが、うちでも近隣の病院でも未だによく見かける。マイコプラズマ感染は学生時代はオリンピックの年に流行すると言われていたが、今はいつでもどこでも流行っている。沖縄ではインフルエンザが先月ピークを迎えたらしい・・・

 検査キットが発達したから検出率がアップしただけかもしれない。しかしそれにしてもである。

 温暖化など地球環境の変化のせいかもしれない。ウイルスそのものが変異しているか、耐性をもってきたのか、いずれにせよ警戒しなくてはならないだろう。ウイルス疾患はワクチンしか有効な手立てがない。ワクチン行政があやふやな日本は危ない国のひとつに数えてもよいだろう。麻疹ワクチンへの対応は今年に限ってみると結構早く手を打ったようにも見えるが、もともとワクチン接種率をもっと上げていれば流行そのものを防げた可能性が高いのだ。

 今一度ウイルス疾患対策に本腰を入れるべき時が来たのではないだろうか。

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2007年7月 3日 (火)

水に慣れる

 常連さんの次男がいつもの咳で来院した。聞くとスリランカから日本に戻ってくる直前から咳がひどくなったとのこと。お母さんはスリランカ人なので、里帰りに連れていったということなのだ。

 児は喘息発作で吸入を受けるとすぐに楽になり、いつもの薬を持って帰った。お母さん自身も喘息を患っているので、調子はどうか、スリランカに帰ると調子はよくなるのか尋ねた。すると

「日本にいるほうが調子がいいの。向こうに帰ると埃もすごいし、すぐに咳き込んでしまう。それに向こうの水を飲むとすぐに下痢するの。数日下痢が続いて、そのうち慣れるけどね。この子もそう。向こうの水を飲むとすぐ下痢して、こっちに戻ってくるころによくなった。でもまた日本の水を飲むと下痢がちょっと出てきてる。」

おいおい、そりゃ向こうの細菌を持って帰っていないか?向こうで下痢は治ったの?熱も出てないし、下痢に血が混じったりしてないですよね?」

「うん、それは大丈夫。治ってたのに日本の水を久しぶりに飲むと下痢したの。」

「それって水が合わないとか、水に慣れるってことかな・・・」

「そうね、いつもそう。向こうに帰ると絶対すぐに下痢するの。慣れると帰ってきてまた下痢しちゃう。でも日本の方がいいかな。」

 そりゃそれだけ自由自在に日本語を話せるのだから日本の水が合っているのだろう。スタイル抜群で顔もシルクロードの仏像を思わせる美しさ。ターメリックの香りを漂わせ笑顔を振りまく彼女は、頭も良くこちらの指導もしっかりこなしてくれるので外来看護師さんたちにも人気だ。

 彼女たちの話しを聞くと日本もまんざら悪くないと思うのだ。

 それにしてもこの下痢の扱いはどうなのだろうか・・・・

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2007年6月16日 (土)

しーっ

 小学校5年生の男の子。学校検尿で血尿を指摘されて来院した。

私「赤血球がしっかり出ている、いわゆる血尿ですね。超音波やりましょう。」

彼「えっ、何々、何やるの?」

看護師「じゃあここにゴロンして。まずは仰向けからね。タオルで服が汚れないようにするからね。」

彼「えっ、お腹出すの?いや~~ん。」

私「痛くない検査だよ。これ触ってご覧。痛くないでしょう?これをお腹に当てるとお腹の中が見えるんだよ。」

彼「何々?これパソコン?USBなんでしょ、USB!」

私「USBはプリンターとつながってるだけだよ。これはプローベって言って、これをこうやって当てると・・・ほらこれが腎臓だ。」

彼「うわっ、すげー。何これ、この丸いの。」

私「腎臓だよ。ここでおしっこを作ってるんだ。息を吸ったり吐いたりしてごらん。ほら動くでしょう。しっかり見たいから息を吸ったところで息をぐっと止めてもらえるかな。行くよ、はい!息を吸って、止めよう。」

彼「すぅ!うぐっ・・・でもさ、なんでパソコンに映るの?」

私「止めようよ。はいもう一回。吸って・・・」

彼「すぅ!うぐっ・ぐっ・ぐっ・・・ぷは~。笑っちゃうよ。」

私「5年生だろ。しっかり止めようぜ。」

彼「ねぇねぇ、なんでパソコンに映るの。USBなんでしょう。」

私「少しは黙らんか・・・教えない。出来るまで教えない。」

彼「すぅ!うぐっ・ぐっ・ぐっ・うぐっ・ぐっ・ぐっ・うぐっ・ぐっ・ぐっ・・・ねぇ、まだ?」

私「まあいいか・・・次は膀胱。ほら!この黒いのが膀胱の中で・・・一杯おしっこがたまってるな。」

彼「うげっ、漏れる!早くしないとやばい!!」

私「君、今の今までひと言もそんなこと言ってないじゃないか・・・次は背中。」

彼「え~っ、なんで背中見るの?」

私「背中の方が腎臓は見やすいんだよ。」

彼「じゃあどうしてお腹から見たの。」

私「ええい!黙らんか!!・・・教えない。さあ、また息を吸って・・・止める。」

彼「でUSBなんでしょう??」

母「済みません。本当に口ばっかり達者で・・・静かにしなさい!」

私「いえいえ、興味のあるのはいいことです。これの先から超音波が出ていて、その跳ね返ってきた信号をパソコンに送って動く画像にしてるんだよ。」

彼「へぇ~。これパソコンなんでしょ。いくら?」

私「500万円かな。」

彼「またまた・・・うどん一杯300万円ってやつでしょ?」

私「お前は関西人か?ほんまに500万円なんじゃ~~普通のパソコンが50台買えるんだよ。」

彼「え~~~っ、凄い!これ欲しい。」

母「バカなこと言ってないで早く服を着なさい。」

 学校でもこうなんだろうな・・・面白いけど、仕事が進まない・・・

 自覚症状のない学校検尿異常の子供達が押し寄せる外来には普段通りの笑いが転がっているのだ。

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2007年6月11日 (月)

行き違い

 金曜深夜の救急当番を終え、土曜外来に突入した。これまで私は診ていなかったが、5月半ばから咳が続いていた子供がまた咳をし始めたということで来院した。これまでのカルテを読み返すと、気管支炎だが喘息も疑われアレルギーチェックがなされていた。

IgE RIST 340、ダニクラス5,ハウスダストクラス5,ネコクラス3か・・・咳が治まっていなかったなら喘息として治療するよう話すことにしよう。もし咳が一端治まって、薬が切れたらまた出てきたというなら、喘息も考えられるが気管支炎が治りきっていなかったかまたどこかでもらったか・・・

 やってきた子供は結構元気で、咳き込む様子もない。聞けば朝から37℃でちょっと咳をしたので連れてきたとのこと。聴診したがこれといった所見はなく、咽頭発赤も軽度あるかないか・・・

朝からの少しの咳とあっても微熱程度・・・これまでのことを引きずった様子はないな。風邪の引き始めかもしれないが、これからゼイゼイしてくれば喘息の可能性もあるが・・・

 「今朝からということは、一端よくなっていたのですね。ペットは飼っていますか?ネコを飼っている。タバコは?誰も吸わないのですね。」

 そこで急にお母さんの顔が曇った。「ネコを飼ってはいけないのですか?前の先生はネコは外にもいるだろうし、関係ないっておっしゃってました。」

私「確かにネコでアレルギー症状がでるかどうかはこれだけの検査ではわかりません。しかしネコを家で飼うとどうしても普通よりダニは多く発生します。ダニが悪さをしている可能性は十分にありますから、もしなかなか咳が治まらなければそういったことも考えなくてはいけないかもしれません。でもね、今朝からの咳でそこまでは言えませんよ。」

母「今朝からの咳じゃ来ちゃいけないのですか。これまで咳が結構出ていて、気管支炎までなって、少しでも早いほうがよいと思ってきたのです。なんだ今朝からの咳ぐらいでなんて言うのはどうなんですか。」

私「今朝からの咳ぐらいでなんてひと言も言っていないが???胸の音は問題ありません。例えば肺炎や気管支炎を疑うような音はしていませんし、呼吸回数も正常です。喘息を強く疑うゼイゼイした音もありません。とすると風邪を引き始めたのかもしれませんが、いかんせん咳が出始めて間もないので、これがそうだと断定できる証拠は何もないのです。とりあえずアレルギーは強いようですから、ロイコトリエン拮抗剤を飲みながら咳・鼻水止めを飲んでみませんか。夜中に咳が激しくなるなら気管支拡張のテープも渡しておきますから、それを貼ってみてください。よくなるなら喘息を考えて治療していきましょうよ。」

母「前の先生の時は37℃の前半でももう少し幼稚園を休むように言われたんです。それを今朝からの咳と37℃の熱くらいでなんて、どういうことなんですか。」

私「だから私は今朝からの咳ぐらいでなんてひと言も言っていないのだが・・・熱にしても通常この年齢で37℃が病的かと言われるとそうではないと言う他はないです。もちろん前回の気管支炎で39℃出ていたのが37℃くらいまで下がってきたら、もう少し家にいましょうねと言うのが普通です。ですから前回と今回では意味合いが違うのです。お母さん、私は今日この子を連れてきたのは間違いだなどとは言っていません。風邪かアレルギー性のものかは今は判断できないと申し上げているのです。時間をおかないとわからないこともたくさんあるのです。」

この後押し問答が数分続いたが無事処方箋を持ってお帰りいただいた。

ネコが云々という言葉に過剰反応をされたのかもしれない。それか今朝からくらいで来るのはどうかと自身で思っていたのではないだろうか。

何も話さず、断定するようなことを何も言わずともこのような行き違いは起こってしまうのである。この間、ただじっと我慢して聞いていてくれた子供だったから冷静に対処できたが、これで泣き叫ばれていたら難しかったかもしれない。よく頑張ったと労をねぎらいたい気持になった外来であった。

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2007年6月 7日 (木)

どこまでやるか

 こちらは少人数の医師で入院もきっちり診ている小児科。それでもって腎臓専門医。腎臓疾患ならどれだけ手間がかかろうと、うちで最後まで責任持って診るのが当たり前。他に任せていられるか!って気概十分である。しかし小児という年齢で区切った患者さんのすべての疾患を大学でもない一市中病院でなにからなにまでやるというわけにはやはりいかない。その線引きをいつも考えなくてはならないものだ。

 例えば白血病。大学にいたころ随分と受け持ったので、診られると思ったら大間違い。日進月歩の医療を知らずして悪性疾患を診ることは悪以外の何物でもない。早々に専門病院へ紹介させていただく。外科的処置が必要なら患者さんも納得しやすいし、悪性なら専門へというのも全くもって問題なく転院していただける。しかしその他の疾患は自分でなんとかできそうだが専門家の意見は別かもしれないとか、家族もいろんな都合上どうして他へ移らなくてはならないのかなんとかしてくれとか、これで転院ってあんた本当に小児科医?って目で睨まれるのがいやとかいろんな状況が渦巻いてしまう。

 先週めまい発作で入院した14才女子中学生もそんな疾患である。

 頭痛・吐き気・めまいで入院し、点滴を始めとして一連の流れの治療をするとそれらの症状は治まった。しかし起きあがろうとすると辛いとのこと。それでもって尿道バルーンも入れてくれないとおしっこが辛いとまで・・・これは本当に辛いのか、それとも精神的なものか?腱反射も四肢運動も感覚器も神経学的な所見はこれといってなく、食欲ないと言いながらお菓子はむさぼっている・・・入院時緊急で撮影した頭部CTでは異常を認めない・・・

 とりあえず耳鼻科疾患の前庭神経炎と、精神疾患とあとは不定愁訴とくれば脱髄疾患やヘルペス脳炎は否定しておくべきと考え、抗ウイルス剤の投与をしながら耳鼻科&精神科併診の上、頭部MRIを撮影した。するとMRIになんだかよくわからない影があるではないか!?T1 low, T2 highでdiffusionでややhighに写る2センチ大の塊ともっと小さな円形像が散在していた。脱髄疾患でもADEM(急性散在性脳脊髄炎)ならもっと広がりをもって出てくるだろうし、梗塞と考えるなら症状と合うだろうか???うちの放射線診断医は首をひねったまま動かない・・・

 おそらく多発性硬化症などの脱髄疾患と考えるがそれでよいという踏ん切りがつかない。診断を兼ねた治療に踏み切ってもよかったかもしれないが、ここは専門病院が周りにたくさんあるのだからそこへお願いしてみようと電話をした。しかしそりゃちょっとわからないですね・・・どこそこにお願いしてみたらいかがですかといつもなら二つ返事で受けてくれる病院がつれない返事。何件かかけてようやく受けてくれるところが見つかり、転院していただいた。

 さて、本当のところはなんであろうか。

 送っても悩ましいのは続くのである。

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2007年6月 4日 (月)

外来ナースの役割

 4月から新しく来てくれた看護師さん。少々ブランクがあり、その間腎臓を患った自身の子供の看病を続けていた。もう子供も落ち着きうちに来てくれるようになったのだが、これが実にいい!何が良いって、お母さんとしてのフォローが適切なのである。

 時間の限られる外来で、もうかかりつけになっているのなら別だが、初めての医者にいろいろ言われてもちゃんと全部を理解するのは結構大変なことだろうと思う。それ故私は難しそうなことは必ず紙に絵などを使って書いて説明する。それでもわかってそうにないなとか、子だくさんでうまく立ちゆきそうにないななどあれば、スルスルっと診察室を抜けて患児の母親とお母さん談義をしてくれる。しかも肩の力の抜き方を教えている様子、これがいいのだ。

 これまでの看護師さんもとても良くできる人で、外来にはもったいなく、ICU系で働く方がよいのではと思われた。ただ良くできて良く動くことのできるが故に手抜きができなかったように思う。やはりにじみ出る余裕みたいなものがあると人間は落ち着くのだろう。

 もちろん細かい指示が小児科の場合は多く、それを一つ一つ的確にこなすことが第一に求められることではあるが、医者にも看護師にも余裕がある方が患児&その父母にとってどれだけ安心感があることか。また医者や看護師自身も子育てで悩み、格闘している最中とわかると、戦友?同胞?意識が芽生え、気軽に声を掛けられるように思う。それらを明らかにすることで、よりよい医療ができるならそれもよいだろう。

 更に楽しく明るい外来が出来そうで、うれしい限りだ。

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2007年5月22日 (火)

学校検尿の季節

 五月は学校検尿の季節である。

 小学校に上がると毎年この季節に腎疾患や代謝疾患の早期発見&治療を目的に国を挙げて検尿が行われるのである。推進派の医師たちはこれにより透析へ至る腎疾患患児を減らすことができていると豪語している。なるほど早期発見には役に立っていないこともない。しかしその先はどうも心許ない。

 腎疾患を専門にしている小児科医は少ない。どれほどの蛋白尿やどれほどの血尿を問題視し、どれくらいの頻度でどういった検査をしていくべきかを判っている小児科医がどれほどいるだろう。もちろん腎臓の教科書レベルでこういったことは記述されているし、さして難しいことではないのだが。

 例えば起立性蛋白尿という概念があるが、これ一つとっても即診断のつく場合とそうはいかない場合がある。専門医である私も起立性蛋白尿のある隠れた腎炎の存在は長い時間をかけて経過観察して初めて診断に至ることができるものだ。他にも専門ならではの匙加減がある。そりゃそうだろう、それが専門家というものだ。

 しかし学校検尿のシステムはそこをヨシとしていない。地域の中核病院に腎臓専門医が居ようが居まいがそこへ行かなくては行政の補助を受けられない。専門医のいる別の地域の病院へ検尿異常を指摘されたと言って受診した場合、患者さんは別途料金をとられることになるのだ。おまけに地域の中核病院で治療もすべて出来るかというとそれこそ無理で、そこから紹介を経て専門医のところへ送られてくることになるのだ。何を目的にしているのか理解に苦しむばかりである。

 小児科医とひとくくりにしても子供の病気は様々である。それこそ臓器別に専門家が必要な科目であることに異論のある医師はいないだろう。ただその性格上かかりつけ医としての役割を担うこともしばしばである。そういったときに自分の専門外の細かなところにまで目を配ることが出来るだろうか。そのためのマニュアル本も数多く出版されているが、すなわちそれはそうすることが難しいから、難しいと思う人が多いから作られているということなのではないか。

 ごちゃごちゃと述べてきたが、結局は長くフォローアップしている患者さんたちから「専門だから安心ですが、ここへ来たら別料金を取られるっていうのはなんとかなりませんかね。」と笑って小言を言われるので憂さ晴らしをしたということなのだ。今日もどっさりと検尿異常の子供達がやってくる・・・・

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2007年5月18日 (金)

反復性耳下腺炎

 中学二年生の女の子。連休後半に両頬が腫れて近医を受診したところおたふくと診断され、腫脹が治まるまで学校へ行ってはいけないと言われた。このとき腫脹は5日で治まり、発熱も最初の数日のみであった。再び11日から右耳下腺部が痛み、少しずつ腫れてきたため14日に当院を受診した。

 診ると確かに右の耳下腺が腫脹していた。圧痛もある。しかし左はなんともなかった。おたふくであれば一生に一度しか罹らない。それならばこれは何か?超音波で確認することにした。すると腫脹した耳下腺の内部は大小様々の小さな円形のlow echoic areaを多数認めた。典型的な反復性耳下腺炎の像である。

 実はこの反復性耳下腺炎は内科領域ではそうでないかもしれないが、小児科領域では鑑別に入れている医師は少ない。流行は通年となり、いつでもある程度のおたふく(mumps virusによる流行性耳下腺炎)を認めるため、耳下腺の腫脹を確認するとすぐにおたふくですと言い切ってしまうのである。しかしおたふくは一度しか罹らない。二度以上罹るのは絶対におかしい。どれかが間違った診断をしているのだ。

 この反復性耳下腺炎はエコーで見慣れてしまうと容易に診断できる。ただ何のウイルスかと問われても判らない。放置しておくしかなく、化膿性か否かを鑑別に入れ、化膿性ならば抗生物質を使わなくてはならない。もっとも化膿性ならば上記以外のエコー所見も現れてくるので、これも診断可能である。

 ちなみにこの子はすでにmumpsの抗体価IgGを獲得しており、IgMは陰性であった。つまり連休中の耳下腺腫脹もおたふくではなかった可能性が大である。ちょっとエコーをあてていれば、連休中の外出禁止も必要なかったのに・・・

 

 

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2007年4月17日 (火)

選んで頂きありがたいのですが

 30をちょっと越えたお母さん。ひょんなことで小児科で腎生検をすることになった。

 このお母さんの子供二人が腎盂拡張と軽度の血尿のため私の外来に通っている。これまで家族に腎疾患はいないとのことであったが、半年前に

「実は・・・私、中学の時に蛋白尿がでてるって言われて近所の医者に行ったのだけれど、結局気にしないで良いって言われて・・・妊娠中にも蛋白尿が結構出ていて、でも妊娠のせいって言われて・・・どうなのかわからないのだけれど、私ってどうなんでしょうか。」

ってカミングアウトされた。

 それから半年間尿検査をしていくと、中等度の蛋白尿(一日0.5~0.8g)と軽度の血尿を認め、この度腎生検をしてもらうことになった。本来内科でしてもらう年齢なのだが、腎生検の後少なくとも翌日まではベット上で安静にしてもらわなくてはならないと告げると、まだ夜に母乳をあげないと子