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2018年11月29日 (木)

安堵

 研修医を終えてうちで働いていた医師が児童精神疾患に目覚め、九州の国立病院で勉強するために旅立っていった。以後一人欠員のある状態で診療を続けていた。といっても近隣の小児人口は減少を続けていることもあり、少しばかり制限するだけで対応出来ていた。
 そんな中、専門性の高い小児腎臓の患者さんを集めるため、そして困っている患者さんとそれを抱える病院への支援も兼ね、近隣の大きな総合病院で月一回外来を開いた。地理学的なこともあり、専門医がいないにも係わらずその病院には多くの小児腎臓の患者さんが集まってきていた。わずか月一回だが、相談することは多く、また自身の病院でフォローアップした方がよい方を連れて帰るなど、とても良い関係で診療することが出来た。その分、自身の病院の負担は増えるわけで、しかも年々医者自身が年をとるわけで、ジリジリと診療負荷に押しつぶされる様子がうかがえるようになった。このあたりで、前任者が帰ってきてくれればと思い、意思を確認することもあってかの病院を訪ねてみた。
 彼はとても充実した顔をしていた。自らの道をしっかりと歩み始めた自信が見て取れた。それは帰ってくるという道を指さず、更に飛躍する道を示していることなどすぐに判った。酒を酌み交わし、夢を語り合い、そして頑張れとエールを送り、戻ってきた。
 とするとこれからどうしようか?と思っていた矢先、思わぬ申し出を受けた。出向いている病院では毎回研修医が外来に陪席してくれる。それはシステムをしっかり把握していない非常勤医師を手助けするための陪席だが、疾患についての考え方や治療法などを教える良い機会にもなっていた。それが功を奏したのだろう、腎臓を勉強したいので私のところで働きたいのだと言う。丁度後期研修も終わるため、次の行き先を見つけなければならない世代の女医さんだ。腎臓だけでなく、一般小児科ももっといろいろと勉強したいと言う。我々のところは、受診患者さんの数も少なく、救急患者さんも少ない旨を話し、見学に来てから決めるように促した。
 先週、早朝からやってきた彼女のもとに、普段は来ないような救急患者が立て続けに来院してきた。手が足りず、彼女にも手伝ってもらいながらの診療となったが、テキパキとこなす姿はとても好感の持てるものだった。午後には落ち着き、専門外来で様々な患者さん達とのやりとりを見てもらった。一日終わり、大変な一日で疲れただろうと問うと、とても有意義で勉強になり、本当にここで働きたいですとの返答をもらった。
 いやいや、こちらこそしっかりした女医さんが加わってくれることほどうちにとって良いことはないですよ。決めてくれてありがとう!これからよろしくな!!

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