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2017年7月29日 (土)

息苦しい

 気管支喘息の診断は、特徴的な喘鳴と発作の経過ですぐにそれとわかるものもあれば、咳嗽だけで診断に苦慮する例まで様々だ。疑いながら治療し、その反応を見定めるしかない場合も多い。何より繰り返すというのが重要で、一発診断と行かないことを知っておいて欲しい疾患の一つだ。最近は呼気のNO濃度で診断する方法が保険適応となっているがこの濃度を測る計測器を持っている病院は少ないのが実情だ。残念ながら当院にもこれは無い。

 先日来院した女児は苦しいと訴えていた。他院で喘息と言われ薬をもらったが良くならないとのこと。看護師さんがバイタルを確認している間、ずっと苦しそうにしていて酸素飽和度も94%、呼吸数も40回を超えている。しかしバイタルを取り終わるとスマホをいじり始め、普通に呼吸していた。診察室に入る頃には呼吸は16回。顔色も良く、何より良くしゃべる。自分の思い込みだけをコンコンと喋り続けているのだ。喘息で苦しいのはすぐに良くなったりはしない。他の器質的疾患でも数分で良くなったりはしないけど・・・
 酸素飽和度がちょっとだけ気になったので、レントゲンと呼吸機能検査、心電図を確認した。レントゲンでは側弯が強いものの、肺野に異常はない。心電図で肺性心を疑う所見はもちろんない。呼吸機能検査は・・・指示通りに出来ていないのが明らかな所見。こりゃ心因性が強いかもと考え、側弯でかかっている整形外科のカルテを見返してみると、数年前にちょっとしたトラブルがあったようだ。思春期の女児はこの辺りがとても難しい。う〜ん、この時から抱えている問題がさっきこの子が激しく訴えていた話の根っこになっているなと思えた。少し探りを入れてみるかと、心臓や肺に問題はなさそうだと言うやいなや、こんなに苦しくて食事も取れないのにそんな馬鹿な話はない、こんな医者のところなんかやめて帰ろうと席を立った。もしここで、自分の中に少しでも向き合おうとする彼女を見られたら、造影胸部CTを撮って何もないことを確認してから、心理面のサポートをするつもりであったが、この状況では無理だ。すぐに危険な状態になることはないから、お帰りくださいとお話しした。
 
 おそらくこれまでと同じようにドクターショッピングを続けていくのだろう。大きな病院へ行き、これまでの検査結果をもらってきなさいと言われ、当院へ再診してくれる頃には自分と向き合う覚悟が出来ているのではないだろうか。そしたらゆっくり話してあげられるのだが。

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