« 完走 その1 | トップページ | 100km達成 »

2017年5月24日 (水)

完走 その2

 寝付けなかった。遠足前の子供のように興奮していた。空が白み始め、ホテルの窓を開け、日野川の河口を眺めた。東の空は赤紫色に染まり、褐色の大山が静かに横たわっていた。朝飯をホテルで食べる訳にはいかない。自転車を搬入し、会場到着が6時30分と決まっていたからだ。
 会場で最後の点検をする。カヤックの装備も万全。後は漕ぎ出すだけだと思っていたところで、順番に出発してもらうとのこと。うん?一斉スタートではないのか。しかもかなり後ろの方だ。タイムリミットもあるので、う~~ん。それでも順番通り、カヤックを進ませた。海は予想外のべた凪。浮かぶヨットをブイ代わりとして回り込んでゆく。眺望は抜群。美しい国引きの浜を進み、折り返して大山へ向かう。全行程1時間ちょっとでカヤックを浜にあげることが出来た。しかし後ろをみてもあまり人は残っていない。急いで自転車に乗り換え、博労座を目指した。
 家内と二人で山登りをすることを考えると、ハイクで時間を大幅に使ってしまうことになる。山頂14時がリミットでカヤック出走までのタイムロスを考えると自転車で相当稼がないと完走できなくなる。その思いで走り始めた。当初はなだらかな上り坂。快調に飛ばし、次々と他の走者を追い抜いた。丁度半分の行程でチェックポイントが設定されており、そこまでは20人程度追い抜いた。OS-1とチョコバーを摂り、休憩せずコースへ戻るとそこからは地獄の直登が待っていた。本当に急な上り坂が延々と続く。しかもワインディングすることなく、わずかな坂の緩みもない。それでも10人程抜いただろうか。標高400m付近でギアを最弱にしていることに気付いた。にもかかわらずペダルが回っていかない。気持ちは焦るが前へ進まない。途方に暮れたころ横を抜いてゆく自転車があった。進めるのだと頭で理解できたら少し前へ進めた。なんとかついて行こうと必死でペダルを踏み込んだ。標高500m、無理だ。これ以上進めない。リタイアが頭をよぎる。休みたい、しかし休んだら二度とペダルを踏み込むことなど出来ないだろうと思った。とそのとき、左足がペダルから外れてしまった。踏み込めない!地面に足を着いてしまった。助走無しに坂道で踏み込むことは容易なことではない。モンベルの監視員が大丈夫かと声を掛けてくれる。いやリタイアはしない。道路標識を見つけ、そこへ手を掛けながら左右のペダルを足にしっかり固定した。頼む、進んでくれ!なんとか踏み込めたお陰で、進むことが出来た。しかしあと300m。きっと無理だと諦めかけた時に、うしろからアメリカ大使館からの参加者が声を掛けてくれた。頑張ろう!その声に励まされ、必死で着いていった。標高600m、700m、これでもかと坂の角度が上がってゆく。博労座では家内と義理の父が待っている。リタイアするわけにはいかない。頭の中は真っ白になってゆく。椅子に座った女性が見える。ここはどこ?えっゴールまであと20m!!やった、登りきった!知らないうちに右手を握り、高く挙げていた。震える足でチェックポイントへ行き、芝生へ倒れ込んだ。10時5分、約90分弱でヒルクライムを終えていた。早い人は60分で登り切るとのこと。そんなことどうだっていい、登り切れたことに涙が出てきた。頭から水を浴びた。大腿へ水を掛けた。30分動けなかった。
 残りは3時間半しかない。普通の人で頂上まで約3時間。早い人は1時間で登るとのこと。運動していない家内の足を考えると余裕は全くない。二人でゴールしないとリタイアとなってしまう。チームとしてエントリーしたためだが、それより自分が足手纏いになるやもしれない。気力を振り絞って足を踏み出した。不思議なことに30分も歩くと、足は快調に動くようになった。行ける、そう感じたと同時に家内が遅れ始めた。ダメだ、無理は出来ない。励ましながら、休憩をこまめに取りながら頂上を目指した。そしてついに大山の頂が見えた。大会のゴールを示す旗が風で揺れている。ゴール!13時20分、完走を果たしたのだ。
 
Dsc_0585_3 やり遂げた。佐倉に来てから覚えたカヤック、一昨年ロードバイクを手に入れて走り始めたのが遂にここまで出来るようになったのだ。本当に素晴らしい宝物を手に入れた。
協力してくれた家族と仲間と主催者モンベルの皆様に深謝致します。
 

|

« 完走 その1 | トップページ | 100km達成 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 完走 その1 | トップページ | 100km達成 »