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2015年2月12日 (木)

忙しいな~

 小児科は風邪の流行る冬期が大忙しだ。季節労働者と言われるほど、この冬期はかき入れ時に違いない。でもよく考えると、風邪なんて放っておいても治るものだ。日本ではさほど問題視されないが、海外では薬を使った人と使わなかった人の風邪症状の治り方の検証や、コストの差異についての論文が山ほど出ている。少なくとも基礎疾患のない小児で風邪薬と称されるものを飲んでも飲まなくても治り方に差はなく、飲めばコストは高くなることが示されている。

 要は罹ったなと思ったら早めの何とかではなく、しっかりと養生することだ。なによりよく休み、水分とエネルギーを補給するのが一番。冬期に乾燥する地域であればしっかりと加湿するのもよいだろう。まずはそれで数日様子をみればよい。それでも良くならなかったり、熱が出ているのに蒼い顔をしていたり、肩で息をしている人は要注意。そここそが医療の出番だ。
 インフルエンザもしかり。結局早めに抗インフルエンザ剤を飲んでも子供では熱を早く下げるという効果すら認められていない(コクランレビューより)。ということは早めに医者のところへ飛んでいっても何の意味もないということ。暖かくして水分を取り、加湿をかけて寝るよう教えて差し上げると患者さんたちは皆怪訝な顔をして出て行かれる。かくしてウイルス感染というのに抗生剤も抗ウイルス剤も鎮咳薬も抗ヒスタミン剤もてんこ盛りにして出してくれる医院は大繁盛してゆく。おまけに何の感染か名前を付けずにはおけないようで、迅速検査できるものは片っ端から実施して頂ける。溶連菌にアデノウイルス、RSウイルスにインフルエンザのおまけつき。おかげでこちらはゆっくりと論文を書く暇が出来るという寸法だが、国民の医療費は拡大の一途を遂げることになる。
 夜間救急はもっとひどい。会社が休めないから今すぐ検査をして原因を突き止め、直ぐ治る薬を出せと言う。人間は機械じゃない、不具合箇所に油を差してハイ終わりってことにもならないし、部品を取り替えるわけにもいかない。ましてや夜間は通常医療が出来る体制にない。休めない会社は人が人のために経営している会社かしらん。体調崩しても数日も休めない社会って、それこそが病気だよ。
 これから国民皆保険における医療費高騰は天井を破って崩壊するだろう。その時やっと自分で出来ることは自分でしなさいということになり、風邪は休んで治し、医療は受けられなくなるのではないだろうか。本当に費用の負担が必要な重大疾患、慢性疾患、介護にお金がまわっていくことになるし、そうあるべきだろう。そうなったときに困らぬよう、今から自分の身体と向き合う必要があると思うのだが。利き手と反対の指先にトゲが刺さったと来院した人のトゲを家庭用の刺抜きでヒョイと抜きながらそう思うのだ。
 と書きかけて置いていたら、林先生の番組でインフルエンザの特集をやっていた。解説の医師は抗インフルエンザ剤は効くと断言こそしなかったが、使うのは当然という感じであった。確かに日本のガイドラインでは使わなくて良いなどとは一言も書かれていない。使うのは当然ということ。
 さて、誰を信じるかは自由。だがもう一つだけ。抗インフルエンザ剤が世に出回り始めて10年になるが、それまでと使われ始めてからを比較してみても、小児の死亡者数は全く変わっていないことも付け加えておこう。

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