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2014年10月26日 (日)

アウトブレイク

 週末は忙しくしていた。金曜日は午前中に病棟当番をこなし、新既入院患者の対応を終わらせて新宿へ。東部腎臓学会に参加した。トルバプタンという新しいカテゴリーの利尿剤のCKD患者への使用方法とか、ショックの治療を今後どう考えてゆくべきかということなどいろいろ考えるきっかけをもらった。

 その後は千葉との県境に場所を移し、シエラレオネから帰国した先生を講師としてエボラ出血熱についての講演を拝聴した。そこで聞きたかったのは、事実がどこにあるのか、そして何よりも不顕性感染があるのかどうかということだった。

 本当はアフリカでも人里離れた奥地で局地的にしか発生しなかったこの感染症が、グローバリゼーションの波に乗ってギニアの首都に飛び火してしまったことが引き金となり、あっという間にアフリカの西海岸諸国へ飛び火してしまったらしい。致死率は6割を超え、医療者も巻き込まれている。しかし隣に寝ていた近親者でも罹患しない人もいる。やはり空気感染とか飛沫感染といった状況は認められない。病初期にはウイルスの排出が比較的少なく、世話を焼いてくれた人に移らないで済むケースがあるようだ。治る人は2~3週間かけてゆっくりと改善してゆく。しかし亡くなる人は発症から1週間程度で逝ってしまうとのこと。下痢が止まらず、点滴で補液をしても全く脱水が補正されず、静かに息を引き取る人もいれば、激烈な痛みと血性の嘔吐を繰り返し亡くなる人もいるとのことだった。

 ウイルスは血液や体液に存在する。0.5%の次亜塩素酸で死ぬので、吐物には雑巾を掛け、そこに次亜塩素酸をふりかけて数分待ち、ビニール袋にいれて捨てるとよいとのこと。潜伏期は10日から21日、これを過ぎて発症した人は今のところいない。不顕性感染も認められない。もしあってもその人から感染し、発症することはない。つまり伝播する様式はかなり限られるということだ。渡航歴は重要だが、何より患者との接触があるかないかが何より重要になってくる。接触が疑われた場合、血液中のウイルスPCRで陰性であれば感染は否定される。濃厚接触はPCRが1回陰性でも48時間後にもう一度チェックすべきとのこと。そこで症状なくPCRも陰性なら感染は無いと判断できるらしい。当該地域での発熱者の多くはマラリアを始めとした別の感染症であり、エボラ患者は稀であることを心に留めておく必要があるとのこと。

 それにしても熱気ムンムンの講演会であった。親をエボラで亡くし、親戚には感染者扱いされて捨てられた子どもたちの写真が目に焼き付いて離れない。

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コメント

先生こんにちは。

ネットニュースより 先生ニュースの方が
詳しく情報が出ているだろうと来てみたら
やっぱり!ありがとうございます!

こちらでは やはり空気感染を恐れる
声が圧倒的多数で 政府もなんだか
いつにもなく弱気で曖昧だし
西海岸ではまだ 発見されていないものの
いつ出るのかみんなビクビクしていて
熱や下痢が出たらちょっと。。。という
感じでしょうか。
かの地の方も沢山いらっしゃるし
でも だからと言ってとりたてて
予防もしていませんが。
(唯一手洗いをこまめに うがいもこまめに
インフルエンザ用ですけど)

私と娘は 折りしも冬に全日空で帰ります。
インフルエンザ用にマスクが欲しいなと
思っていたらこの騒ぎで。。。
冬は帰りたくないのですが 母がそれを励みに
放射線治療を受けているので
頑張って帰ります。

今週末はハロウィンで 娘はさっき
父親にきつね(何故??? 笑)の
コスチュームを買わせていました。
しっぽも 足の毛(爆)もついていて
22ドル!いつまでやるんでしょうね。。。

投稿: バリスタUSA | 2014年10月28日 (火) 13時00分

バリスタUSAさん

 ハロウィン一色なんでしょうね。いつか本場のパーティーを体験したいと思っていますが、なかなかね~

 エボラの今後は、中国へ飛び火し、そこから入ってくるのではと危惧しております。インフルエンザとごっちゃになると全く訳が判らなくなりますよ・・・

投稿: クーデルムーデル | 2014年10月29日 (水) 18時02分

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