« 八千代カンファレンス | トップページ | 少しずつ »

2014年9月26日 (金)

線維筋痛症学会

 長野で開かれた線維筋痛症学会に出掛けてきた。まだ病因、病態がハッキリしていない疾患だけに、白熱した議論が繰り広げられ、ほんまかいな?と思いながら各セッションを聴いて見て廻るのが面白い学会だ。今年もそうなるだろうと期待して出掛けたのだが・・・

 プログラムを見るといつもと様子が違う。会場へ到着するとなんだか雰囲気の違う人達がうろうろしている。どうしたのかと思っていたら、どうもワクチンの副反応を糾弾する会になっている様子。それを報道する関係者がわんさか来ていたのだ。
 そのワクチンとはHPVワクチン、俗に言う子宮頚癌ワクチンだ。このワクチンを思春期真っ只中の女の子達に接種するようになったのだが、その中に打った局所の痛みだけではなく、全身の脱力を始めとした様々な症状を呈する子供達がいるというのだ。厚労省の見解は、予防接種の後そう遠くない期日で症状が出現した者のみ副反応出現ととらえたところ、少数であり、しかも心因反応が強いとのことだった。しかし当学会で調査したところ、接種者の0.074%、実に2500人もの若い女の子たちが全身の脱力や生理不順、不随意運動、無気力などに苦しんでいることが判ったというのだ。
 理事長以下、役員の先生方は一様に厚労省の対応を批判していたが、予防接種を受けたにせよ1年とか2年後に症状が出現した人もワクチンの副反応と認定せよという方が無理があるように思う。皆さん、健康な若い女の子たちが突然こんな症状になるなんてワクチンのせいに決まっているとおっしゃるが、どんな疾患だって通常健康な人が突然症状出現で驚くものだろうに・・・
 断っておくが、この女性達の症状がHPVワクチンと関係などないと私は言い切る訳ではない。謎の多い病態なので、何が原因か今はハッキリしないとしか言えない。しかし思春期の、ただでさえストレスの多い時期に、普段やってこなかった筋肉注射(これはとても痛い)を受けて、交感神経系の過剰な反応が起きてしまったのではと考えるのが一番自然のように思う。通常海外ではワクチンは筋肉注射するものだ。しかし局所の副反応を軽減する目的で日本では皮下注しか行われていない。そこも含めて考えるべきで、いろんな考え方が出来ると思うのだ。
 そもそもこのワクチンは必要なのだろうか。子宮頚癌は若い女性から年配者まで広く罹患する可能性のある悪性疾患だ。原因はHPVというウイルス感染が考えられている。このHPVに対するワクチンがこのワクチンなのだが、このワクチンの予防機序が私にはよく判らない。通常ウイルスが体内に入ってくれば、ウイルスの増殖は細胞内で行われ、感染細胞のSOSを感じた免疫細胞によりその細胞がウイルスごと破壊されると同時にそのウイルスの抗体を生成する。次にこのウイルスが入ってきた時にはまず血中でこの抗体がウイルスを不活化させてしまうというのが簡単に考えられる免疫機序である。
 セックスに伴って侵入してきたHPVは子宮頚部の上皮に留まり悪さをするわけだが、上皮より奥に侵入しないためなかなか免疫細胞が反応できず、抗体も作れない。だからワクチンで抗体を作ってあげれば、侵入してきたHPVを補足できるというのだが、そもそもその抗体は膣内でどれほどの効力を発揮できるのだろうか?それがハッキリしておらず、ワクチンの会社(GSK)もそこを説明できないのだ。ということは本当に効果あるの?必要なの?という質問を浴びせている間に、議員主導でこのワクチンが定期接種化されてしまったのだ。まあ世界が必要だ、効果があると認めている(ワクチン接種で子宮頚癌罹患者が減っている報告あり)のだから、矛を収めようということで、このワクチン接種も行ってきたのだが、改めてここがどうなのか知りたいところだ。
 それにしても線維筋痛症学会が率先してこのワクチン糾弾へ向かうというのはどうなのだろうか。接種者の全例調査をするというのは確かに良いと思う。しかし学会員に学術集会の抄録集さえ無料配布できない学会のどこにお金や力があるというのだろうと思うがいかに。そんなことより線維筋痛症が脳内の炎症だ、いや交感神経のいたずらだ、いやいや関節滑膜に存在する物質の変性だ云々という証明がどれほどできるようになったのか、そこを議論する場でなかったか・・・余談だが、たった独りではあるが、線維筋痛症の思春期の女の子にこのワクチンを接種したが、特に副反応は認めなかった。今は元気に青春を謳歌し、通学している。 

|

« 八千代カンファレンス | トップページ | 少しずつ »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 八千代カンファレンス | トップページ | 少しずつ »