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2014年1月21日 (火)

ストマックフルー

 冬期には嘔吐を伴うことの多い胃腸炎が流行する。夏期にもウイルス性胃腸炎はあるが大流行は少なく、食べたものに含まれる細菌による感染で胃腸炎となる人が多い。冬期に流行するものとするとウイルス感染が主流で、ノロやサポ、ロタ、アデノなど様々なウイルスが原因となる。どれであろうと糞口感染が主体で、接触や飛沫感染はとても少ない。よって基本は排泄物の処理と手指の洗浄が第一となる。

 ノロウイルスは結構頑固で吐物が乾いてしまうと空気中へしばらく漂うことが知られている。このため多くの人へ急速に広まる可能性を持っている点でやっかいだ。しかも原因ウイルスをノロと断定するのは時間も金もかかることで、ノロだからどうという考え方は非効率極まりない。

 海外ではこの時期に流行る胃腸炎をストマックフルーと呼んでいる。フルーとはFluすなわちインフルエンザのようなものということで、激しく流行することを意味しているのだろう。その呼び名にウイルスの名前は入っていない。それは治療においても予防においてもウイルスが何であれ大差ないということを示している。治療薬だってどこにも無い。整腸剤が病期を短縮するというデータもない。数時間で嘔吐が止まったら、少しずつ頻繁に水分摂取して治るのを待つしかない。

 ノロだから、ノロと判ったから塩素系の漂白剤を使おうというのはおかしい。そう断定できる根拠はとても弱い。それならば吐物はすべて塩素系の漂白剤を混ぜて捨てること、吐物の着いた衣服は出来るだけ塩素系の漂白剤を混ぜて他の洗濯物と別にすること、そして出来るだけ乾燥機で熱すること。手指も塩素系の漂白剤を噴霧するとしたいところだがそれは待つべき。皮膚を痛めることと、すべて殺菌できるとおもったら大間違いであることなどから、それよりなにより石鹸でしっかり洗い流すことが重要だ。手指についたウイルスは洗い流せばよいのだ。

 罹ったかどうかを医者に判定させるなんてとんでもないことを言わないように。迅速検査は相当量のウイルスが検出されない限り陽性とはならず、しかも疑陽性も存在する。正確な判断はウイルス分離しかなく、時間とお金が掛かり、すべての患者に対応出来るものではない。治ったかどうか証明するというのもナンセンス。なんのウイルスか定かでなく、しかも便中にはどのウイルスも数週間排泄される可能性がある。どこを治ったとするのかなど人によって様々とするとその証明書になんの意味があるというのか。

 吐物・排泄物の処理が出来て、手指の洗浄がきちんと出来るなら社会的活動を制限する必要はない。何とかの一つ覚えよろしく、隔離隔離では社会が成り立たない。インフルエンザとて日本の隔離政策が世界中から根拠無いとあきれられたものだったことを思い出して欲しい。ウイルス感染は発症する人もいれば発症せず保因者となっている人も大勢いるので、ある瞬間に一地域を完全に隔離するなどしない限り意味は無い。つまりウイルスを隔離で封じ込めるなんてどだい無理な話。インフルエンザも含めて12月から3月までは日本全国皆自宅待機にしましょうとするなら別だが。

 激しく蔓延するウイルスに対しては、国をあげてワクチン製造および接種に努めるというならとても意味あることだろう。

 ということで皆さんよく手洗いして、罹ったら大人しくおうちで休養を取って、水分摂取を心がけ、復帰した後もこまめに手洗いしてくださいませ。

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コメント

先生 大変ご無沙汰しております。先日まさにストマックフルーでして、日本でも そういう風に言うのかとネットを何げに見ていたら 先生のブログにたどり着きました。(さすが!)こちらでは 下痢 胃のムカつき 嘔吐を伴う体調不良をこう呼びます。もちろん 滅多なことでは病院には行きません。お世話になった娘も8月からは高校生(9年生)です。弟もおかげさまで 普通の生活ができているようです。今週は45度超えの暑さが続いていて さすがに外出を出控えているのか 街は静かです。日本は梅雨ですね。願わくばこちらにも雨が欲しいです!では 失礼します。

投稿: バリスタUSA | 2017年6月19日 (月) 10時19分

バリスタUSAさん

 ご無沙汰しております。

 日本も暑くなりましたが、45度ですか・・・おそろしい。。。でも湿気がない分日陰は過ごしやすいのでしょうか。

 細々と小児科医やってますので、何かありましたらどうぞ。

 では。

投稿: クーデルムーデル | 2017年7月 5日 (水) 13時22分

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