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2012年3月 9日 (金)

川崎病

 先週も先々週も川崎病の児が入院してきている。幸い冠動脈に後遺症なく経過してくれている。この病院に来てから8年になろうとしているが、だいたい月1人ペースで川崎病の入院があるものの、冠動脈後遺症が残ったのは1名のみだ。残念ながら後遺症を残してしまったお子さんも、元気に成長しているのがなによりだ。

 原因究明もさることながら、川崎病の後遺症を残さない方法論がいろいろと議論されている。まずはγ-グロブリンを使うという今の常識を覆すものはない。しかしそれに対する反応の悪いものは存在し、そういった例が後遺症に最も近い患者であることも事実だ。彼らを事前に抽出し、ステロイドを使って治療をしようという研究が群馬大学の先生たちを中心に立ち上げられた。参加施設を募る説明会で、これは素晴らしいと感じ、手を挙げた。あれから3年が経過し、素晴らしい成績を挙げ、その報告がLancetという医学雑誌に掲載された。

 また大学でレジデントとして働いていたころ、川崎病を研究していたグループの先生達が、他の施設からの報告をもとに、ウリナスタチンという薬剤を投与する治療を始めた。もちろん自分が受け持ちとなったときも、γ-グロブリンと同時にウリナスタチンを投与した。(他の施設ではウリナスタチンだけでも効果があると報告する人もいたが、あの施設はどうなったのだろう・・・)私が大学を離れた後もウリナスタチンの投与は続けられ、今の病院へ赴任してきてくれた後輩も同様の治療を行っていた一人だった。この治療も素晴らしい成績を挙げ、その報告が大学の後輩達からなされ、Circulationという医学雑誌に掲載された。

 先日国際川崎病学会が京都で行われた。私は研究者ではなく、よいと思う治療を患者さん達と共に考えながら施行しているただの医者だが、聞くところによると、治療のシンポジウムでは上記の二つが注目を浴びていたとのことだった。うれしい限りだ。

 川崎病の発見者である川崎先生も米寿を迎えられたと聞く。果たして先生が生きている間にこの病気の原因は特定できるのだろうか。そして後遺症を全く残さないで済ませることの出来る治療法が確立されるだろうか。今後の研究に期待したい。協力は惜しまないので。特に前述の後者の治療、RCTやろうぜ。

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