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2012年2月 8日 (水)

糸結び

 腎盂尿管逆流症という病気がある。こいつの有無を確認したり、その程度を調べるために膀胱造影という検査を行うことがしばしばある。私たち小児の腎臓を専門にする医者には日常茶飯事の検査であるが、この検査の道具が一般には特殊だったりする。

 膀胱の中に造影剤を注入するために柔らかい管を挿入するのだが、材質とか形状とかいろいろある中、検査に都合がよく使い勝手のよいものでなくてはならない。我々の施設では天然ゴムのネラトンカテーテルを使用しているのだが、昨今の薬剤誤投与防止策のあおりをうけてなのか、こいつへ造影剤を注入するための滴下ラインとの接続がやっかいなのだ。

 血管内に入れるもの以外は、通常のシリンジが接続出来ないよう太く設計されている。しかしこのネラトンカテーテルはシリンジしか接続出来ない。しかも安定して接続するためには金属製のアダプターを装着しなくてはならない。この装着が極めてやっかいで、アダプターの先端がゴム管の中になかなか入らない。ようやく入ったとしてもそのままでは心許ないので、上から糸で縛って固定する必要がある。

 これまで滅菌処理を行い、使い回ししていたのだが、造影中にアダプターとカテーテルが外れてしまうというアクシデントに見舞われた。もちろん予備で対応できたのではあるが、作り直しをすることに。

 よい機会なので、今年うちに来た若い先生にも手伝ってもらった。ところが何度糸結びしてもアダプターはスカッとカテーテルから抜けてしまう。アダプターにはねじ切りもないため、キッチリ結んでようやく外れない状態となる。血管の結紮と同じだよと話し、コツを教えた。ここへ来る前は切った張ったも出来なければならない職場だったので、糸結びなど日常だったが、彼にとっては研修医時代以来のことだったようで、勘が鈍っていたのだろう。

 患者さんに直接糸を掛けたわけでもなく、偉そうなことが言える訳ではない。でも医者の基本は押さえていた方がやっぱり良い。手技にしても診察にしても。繰り返し繰り返しね。

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