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2011年7月 1日 (金)

腎フォーラム

 年に一回は千葉の小児腎臓を志す同志で集まろうと始まった腎フォーラム。昨日千葉中央で第三回が開催された。

 毎回先端を走る先生方の講演を拝聴し、その後ディスカッションしながら飯を食うという形式で行われており、今回は弘前大学の先生方の話しを聞くことが出来た。

 腎疾患の基本は、尿検査などで異常を認めた児に対し、適切な時期に腎生検などで確定診断を付け、治療・観察を行っていくことである。現時点で腎生検は外せない侵襲的検査である。しかし侵襲的であること、そして生検結果の予想が外れることは割合少ないことなどから、必要性を疑問に思うこともしばしばである。ただ治療も副作用を伴うものであり、確実性を高めるために腎生検はどうしても避けては通れないのだ。

 全国の腎臓を専門にする医師達は皆腎生検をしないで診断できるシステムを探し歩いている。弘前の先生方もそうで、彼らは尿沈渣細胞にある種のmRNA発現を見出し、そいつを抽出することで診断に至る道筋を作ろうとしていた。そこで見えてきたものが実に面白い。

 話しは以前の腎フォーラムに戻る。IgA腎症の話しをしてくれた川崎先生が「通常状態の腎に免疫複合体を雨あられと降り注いでも何も起こらない。しかし液性免疫を操作してゆくとメサンギウム細胞の増殖と基質の増生が起こってくる。」と発言していた。これは身体のどこかで免疫反応が起こり、活発に免疫複合体を始めとして炎症の燃えかすが発生しようとも、腎の関所お目付役に騒動が起こらない限り、病気が発生しないことを意味している。今回の話しはそのお目付役であるメサンギウム細胞およびその近傍で起こる騒動が何によって起こるのかという話しだったのだ。

 ウイルスに感染すると人の細胞ではウイルスが侵入してきたことを感知する機構が働く。マクロファージにあるToll-like receptorのような膜貫通機構だがRetinoic acid inducible gene 1 (RIG-1)というものがこの時発現する。どうもメサンギウムおよびその近傍でこいつが発現しているらしいのだ。RIG-1と同じくT-betなどのmRNAがこれらに発現していることは、ウイルス感染により慢性腎炎が急性増悪するメカニズムを説明するのに無茶苦茶役立つ。もちろんこれ以上の詳細は論文を読んで判断してほしいが、話しを聞いているだけでワクワクしてくるものだった。

 ただし疾患特異性があるとか、カットオフポイントがあるとか言ったレベルの話しではないので、即腎生検なく診断治療ができるというものではない。これらの話しが繋がっていってやがて大きな大河となると期待するものだ。

 で、興味は尽きず、また決められた着席場所が彼らの隣であったので、どうでもよい地元話でも盛り上がった。研修医が終わって青森の大湊に2年間居た私は、彼らの同門である先生ととても懇意にしており、そこから弘前ねぷたの話まで延々続いたのだ。またやってしまった、前回のフォーラムでもしゃべりすぎないようにと思っていたのだが、独り占めするように話し込んでしまった・・・

 でも先生方、どうもありがとうございました。とても勉強になりました。

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