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2011年3月 3日 (木)

初・柏駅

 柏で行われる催しには何度か参加しているが、不思議と柏駅を見ることはなかった。

 このたび東葛腎カンファ(通称:腎病理虎の穴)が柏駅傍のとあるホテルの会議室で行われ、JR柏駅を拝むことになった。千葉のラーメン雑誌などをみると柏駅界隈は激戦区らしいが、確かに美味そうな店が建ち並んでいた。博多水炊き・・・う~~む・・・・がしかし、今日はカンファレンスのためと会場へ急いだ。

 演題は3題、到着時には既に会が始まっており、ほぼ満席の中、肩を丸めながら着席した。周囲を見渡すとコーヒーカップがそれぞれの手元に置かれていた。この会はいつもおいしい鰻弁当が出るので楽しみにしていたのだが、どうも様子が変だ。と思っていたら、ほどなくして黒塗り風の弁当箱とご飯と汁物が運ばれてきた。なんとまあ豪勢な・・・蓋を開けてみると松花堂弁当で、汁物は鯛の潮汁。しかしぬるい・・・・・・・・・・これだけ豪勢で、しかも着席後に運ばれてくるのにぬるいなんて・・・・・・・・がっかりするとそれだけで味が落ちたように思うのは当然。鰻弁当が恋しくなってしまった。いかん、集中しなくては。。。

1. TMAと鑑別困難であった強皮症腎クリーゼの1例

  全身の倦怠感・乏尿を主訴に来院した74歳の女性。精査加療目的で入院し、腎不全として透析を受けている間に溶血・血小板減少も出現し、あれよあれよと状態が悪化し、結局数週間で亡くなってしまった。剖検にて強皮症・腎クリーゼを起こしているところへ、TTPを合併したらしいというコメントであった。腎組織は虚血による急激な硬化を呈しており、食道や胃、肺にも硬化像が著明に広がっていた。こりゃ残念ながら助からないだろう。肝臓には小葉の細胞の膨化を認め、病理のコメントはライ症候群ではということだったが、自分の経験例から見てライならばもっとびまん性に、しかも大小とりどりの脂肪滴が散在するはずであるので、そりゃ違うだろうと思いながらスライドを眺めた。

2. ネフローゼ症候群で発症しTMAが疑われたが、ステロイド療法単独で軽快した高齢女性の1例

 全身の浮腫を来たし、尿量が少なくなったと来院した79歳の女性。尿タンパク3+ではあるが、アルブミンは3.0g/dlあり、コレステロールもフィブリノーゲンも高くなかった。クレアチニンはちょいと高めだが、これはネフローゼではない。のっけから臨床担当演者の話は誇張が入っていると思いながら見た。高血圧はあるし、結構な肥満もある。血小板が10万と微妙に少ない。はて・・・

 組織は一見FSGS様だが何より目立つのは管内増殖。ボウマン腔の拡大は無く、間質への細胞浸潤が軽度ある。mesangiolysisもあり、足突起の消失などがそれほど強くない。こりゃなんだかの感染の後じゃないのだろうかと思いながら経過をみた。臨床家はこれにステロイドパルスを加えたらしい。少し反応したが、1g前後の蛋白尿とクレアチニンの高値(1.8mg/dl)、血小板10万は変わらないとのこと。LDHはmax 450で以後250~300で推移していた。どう見てもTMAという重大さは感じられず、FSGSでもダラダラした蛋白尿というほどでもない。

 それにしてもこれにやみくもMPTとは恐れ入った。よく肝不全や重症感染症に陥らなかったものだ。血小板の推移などを見てからで十分だっただろうに・・・

3. 興味ある治療抵抗性IgA腎症の1例

  蛋白尿を他院で指摘され、次第に増強してきたため腎生検目的で来院した54歳男性。1年前に初めて健診で蛋白尿を指摘されたが、これまで血尿も含め指摘されたことはなく、肉眼的血尿もなかった。治療のされていない高血圧(140/90)があるが、先行する感染はないとのこと。採血データはネフローゼを示し、IgA 257mg/dl、尿中赤血球20-29であった。この時点で演者はIgA腎症と決めつけていた・・・・そして組織を見ると、IFでIgAが染まっている。どうだIgA腎症だろう!ステロイド試したけどダメだったので、扁摘かましてそれでもダメで、免疫抑制剤も入れてやったぜ。でもだめで再腎生検したらIgAが消えててFSGS様だったのでLDL吸着もしてやったぜ、とのこと。自分の後輩ならどやしつけているところだ。何がIgA腎症なのか。経過中に肉眼的血尿もなく、顕微鏡的にも軽度の血尿のみ。ネフローゼに軽度の血尿があれば、まず疑うべきはFSGS。頭の片隅にIgAはあるべきで、組織を確認するのは勿論良いが、メサンギウムの増殖もなく、EMでパラメサンギウムにdepositのかけらもないではないか。どこから見てもFSGS。それだけ。

 今日の3題を見ていると、まずは臨床像をしっかりと見極めるという視点が抜けているように思った。腎病理虎の穴へ送るべき症例は、臨床で本当にハッキリしないことを病理で説明しうるのかというところだと考えている。なによりまず腎生検してそれから考えるなどという野暮な考え方は止めるべきだろう。

 なんて言いながら、鰻弁当が食べられないならカンファレンスへの参加をどうしようなどと、どうしようもなく野暮な考えにとらわれている。。。

  

 

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コメント

最近は腎生検要らないんじゃないかと思ってしまう事も度々あるのですが,勉強するほどに判らなくなってしまいます.
KIにIgA腎症におけるfocal sclerosisのstudyがシリーズで出てましたね.
IgA腎症も大人と子供で風景が違うからなぁ…

投稿: Diabo com Fome | 2011年3月 3日 (木) 16時14分

Diabo com Fomeさん

 KIですか。最近さぼって読んでませんでした。早速・・・

 清瀬にいるときから、なんとなくですが、腎生検の意義について疑問に思っておりました。ボスの話を聞けばねぇ~

 おまけに最近こぞって病理分類をいろいろとこねくり回していますが、臨床とかけ離れていくように思えてならないのです。

投稿: クーデルムーデル | 2011年3月 4日 (金) 13時27分

ここで、あとだしジャンケンみたいに言うのはどうかなと。会場で勇気をもって質問すればいいのに。と思うね。その反応をレポートしてほしいなあ。
こねくり回しの意味理解してますぅ?
こども腎臓の範疇ってこんな程度なんだね。

投稿: | 2012年2月 3日 (金) 00時53分

コメントどうもです。

 コメントの内容からするとその場にいらっしゃった方でしょうか。であれば、どの様に発表をごらんになったのか是非知りたいです。

 症例検討会そのものが後出しじゃんけんみたいなもので、おまけにこの会は病理から見てどうしてこういった治療をしなかったのかと吊し上げられることの多い会ですよね。様々なバックグラウンドを抱えた、一癖もふた癖もある患者さんを見てこられた内科の先生に、病理の先生方以外からのつっこみは申し訳ないかなと思っておりました。他の研究会ではバシバシ意見している私ですので、これから声を挙げるように致します。

 おっしゃるとおり、腎臓内科は小児腎臓科よりずっと奥深く、幅広い知識を持っていらっしゃること、よく存じております。一緒に働いている腎臓内科の先生にもよくご教授いただいております。だからこその意見とご容赦下さい。

投稿: クーデルムーデル | 2012年2月 3日 (金) 17時07分

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