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2011年2月15日 (火)

何が

 前日からなんとなく元気がないという赤ちゃんを連れた方が来院してきた。聞けば母乳は飲むのだけれど、2回嘔吐したのだという。下痢はなく、熱もないが、なんとなく元気なく顔色も悪い。聴診しようとすると泣き始めた。泣く力はあり、それと同時に顔に赤みも差してきた。考え過ぎか・・・しかし・・・なんとなく胸騒ぎを覚えながら、ぐずる赤ん坊の胸に聴診器を当てる。

 おや・・・激しい啼泣の向こうにかすかに雑音が聞こえる・・・でもかすかにという程度なら心奇形ではないだろう。母子手帳をみても大学病院の医師が何人も異常なしと判子を押している。具合が悪いときのinnocent murmurか、これと顔色の悪さは貧血によるものなのか・・・

 触診で肝は1横指触れるも脾腫なく、もちろん大泉門も凹凸などない。しかし胸騒ぎは治まらない。レントゲンを確認すると腹部には小腸ガスがあり、右肺には肺炎を思わせる陰影がある。しかし咳嗽なく、発熱もない。ただ落ち着いた後も脈は速く、心雑音も軽度聞こえる。いやな感じはどうしようもなく膨らんできた。「入院してくれませんか?」母親も同じ気持ちだったらしく、二つ返事で入院加療となった。

 苦労して出来た赤ちゃんらしく、徹底的に調べて欲しいというお返事。外来の関係で主担当は別の医師だったが、状況は気になっていた。

 採血の結果はWBC 20000以外何もない。はて・・・でも髄膜炎など敗血症は否定しておきたい。髄液検査を含め様々な検査を行った。しかし感染を疑わせる所見はまるでない。エコーを当ててみる。心臓の動きはよく、心嚢液などもちろんない。腹水がわずかにある・・・膀胱は異常ないが左腎の腎盂拡大がある。尿路感染でもあるのか?各種培養を行った後、CTRXを開始した。

 翌日右肺が真っ白になっていた。両側に胸水が貯まり、特に右側に強く貯まっていたのだ。CPKも3600、AST,ALTも3桁に上昇していた。海外渡航はなし、両親に肝炎もない。WBCは20000のまま、CRPは陰性・・・UA10 !?一体何が?急いで心エコーを行う。しかしややIVCは張りぎみだが心筋炎の所見はない。トロポニンTも陰性だ。末血ストリッヒではblastなし・・・どこかにmalignancyが隠れていないだろうか?leukemiaならばWBCがガツンと上がるように思う。lymphomaか、それともneuroblastomaか、はたまたrhabdomyosarcomaか・・・

 明日シンチを行う。果たして・・・

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