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2010年12月20日 (月)

治癒証明書

 感染性胃腸炎が蔓延し、嘔吐で来院する患者さんが後を絶たない。しかし幸いなことに通常1日前後で回復している。おそらくノロウイルスだろうという予想はしているが、迅速検査などはしていないので予想だけである。

 これに伴い治癒証明書を希望して再来する方が増えている。学校からそう通達されているとのことであった。あまりに多く、この時期混雑する小児科を更に混雑させているのもあって、教育委員会に下記のように意見しておいた。

 

この1ヶ月、ノロウイルスを中心として感染性胃腸炎が流行しております。これに対し治癒証明が必要と来院される学童およびその父兄が多数おり、一言申し上げたくメールしました。

 ノロウイルスは体内に随分長い間留まることが知られています。嘔吐や下痢は数日で治まりますが、ウイルス感染は数週から1ヶ月近く続くとも言われています。もし治癒と言うのであれば、それはウイルスが排除された時のことを指します。では治癒証明とは一体何なのでしょうか。

 人に移す可能性を指すのであれば、嘔吐と下痢が治まった時点でもよいかもしれません。それであれば自己申告で十分です。なぜなら病院へ来たところで、われわれが患児への聞き取り調査をするだけに他なりません。もし患児およびその家族が嘘をおっしゃっていたらそれを見抜く術はありません。学校としても自己申告で問題なのは、病状を軽く申告されることではないでしょうか。それならば治癒証明があろうがなかろうが一緒です。

 治癒証明をもらいにくるとどういうことがおこるか想像してみて下さい。患児および家族はそれだけ時間をロスします。病院には多くの別の感染症をかかえた患者さんが大勢いらっしゃいます。当然感染の機会を増やすことになります。そして新たな感染に罹患し、そのまま学校へ行き、別の学童へ移してしまうのです。

 学校保健安全法で記載されている第3種までの感染症であれば、人に移す期間が定められておりますから、治癒証明の必要性は納得できます。しかし上記疾患ではウイルスの動向もわからぬまま虚偽の証明書を発行することにもなります。公文書偽造にもあたるのではないでしょうか。

 学校から治癒証明がないと登校させられないと言われているからといらっしゃる保護者に対し、つっぱねるのもどうかという観点でこれまで書いてきましたが、全く間違ったことだと思っています。

 どうか感染症に関しては、自己申告でOKとなさるようご指導下さい。治癒証明の存在より、手洗い・うがい・体調が悪いときは無理せず休むというのが感染を蔓延させない王道です。

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コメント

 同感です。

 冬季のウイルス性の胃腸炎については治癒証明は時間と紙の無駄だと思います。常識的な範囲内のことが判断できない教師が増えてきたと感じます。自己防衛で必死なんですよね。ある意味哀れです。

投稿: hidero51 | 2010年12月20日 (月) 13時48分

hidero51

 教師の資質の問題なのか、それともモンスターへの自衛策なのか。いずれにせよ医療者からの情報発信が必要と思い、元締めに連絡しました。

 情報過多な時代であるが故、おそらく地域の医療行政を指導する立場の人間が、方針を示す必要がいろいろとありそうです。厚労省からの通達をそのまま流す保健所ではないところからがベターと思います。

投稿: クーデルムーデル | 2010年12月21日 (火) 08時56分

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