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2010年9月 1日 (水)

宿題

 小学校低学年の男の子。一昨日夜から嘔吐していて、昨日から今朝までおしっこしてないと来院。熱はなく、お腹はすいた感じがするとのことで、今朝はひと口水分がとれたらしい。そのひと口の後は吐いていないとのこと。血圧は年齢相応、心拍数はやや多いがCRTは1秒未満。ならば胃腸炎で、そのうち良くなるパターンだろうと思いながらお腹を触診してみた。蠕動音は昂進ぎみ、上腹部は柔らかく、下腹部はやや硬いも力が入っている様子。顔色も悪くないとすればそのまま帰すところだったが、今日から学校や幼稚園が開始され、外来も暇だったこともあり、点滴して帰ろうと提案した。もちろん少し下腹部が硬いことや乏尿が気になったのもあったのだが・・・

 点滴ついでに採血してみると・・・おや?白血球がやけに多いぞ。血液ガスからは脱水は軽度か。生化学出るまでにエコーでも見ておくか。う、うん?少ないが腹水があるぞ・・・ちょっと待て、CRP 12もあるじゃない。熱はなし、、、お腹もう一度触らせて。

 緊張が解けたのか、再度の腹部触診では力が抜けていた。左下腹部も痛いが、右の方が優位に痛い。reboundはないか・・・少なくとも硬くはない。はて・・・

 母に渡航歴や最近の食事、そしてペットの状況などを尋ねた。えっ、カメを飼い始めた。それか?サルモネラが頭をよぎる。発熱なしがひっかかるが、回盲部の炎症をおこすとなると辻褄が合う。

 レントゲンを撮影し、病棟へ入院してもらい精査へと移る。来院時から3時間弱経過して、もう一度お腹を触る。今度は右下腹部限局性の痛みに変わっている。しかもreboundがある。それならエコーをもう一度当ててみよう。回盲部のリンパ節は腫脹していない。この索状物は・・・虫垂炎じゃないか!

 摘出の必要性を話した。1週間近い入院となることを告げた。すると、
「宿題全然できてないんだ。1週間入院なんだよね。学校行かないんだよね。よかった〜〜」

 1時間後、彼のお腹からは黒ずんで腫れあがった虫垂が取り出された。

 

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