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2010年7月 2日 (金)

久々に柏

 現在大阪で小児腎臓病学会が開催されているのだが、神戸の日腎へ出席させてもらった関係で、今回はお留守番。でも腎臓の勉強はやっておこうということで、東葛腎カンファへまたまた出席してきた。

 各種学会が全国各地で行われているため、大御所と呼ばれる病理の先生たちは不在であった。そのため会はとても和やかに、しかし鋭さも消えたなんとも微妙なもので推移した。

 ① 糸球体に得意な沈着物を認めた一例

 表題だけで軽鎖沈着か何かだろうと思っていた。しかし患者の背景はとても複雑で、一体何処に本質があるのか・・・脳梗塞、高血圧、食道静脈瘤、脾腫、低アルブミン、血小板減少・・・肝硬変からくるなにかか?肝炎ウイルスは?陰性か・・・はて?

 肝臓の病理はあまり大きな変化のあるものではない。門脈領域に線維化が多少、脂肪変性なく、bridgingもない・・・特発性門脈圧亢進症か・・・?腎はメサンギウムを始めとして様々なところにdepositが存在しそう。膜の二重化もあるか・・・膜性増殖性糸球体腎炎ならばクリオグロブリンの沈着ってのでOKだが、ほんまに肝炎ウイルスはいないんかいな?いない?釈然としないが、肝硬変でクリオってのもアリだろう。管内の大きな塊はクリオの塊ってことで。

 ② 急性腎不全軽快後もたんぱく尿、血尿が持続するため腎生検をしたところ、半月体形成性糸球体腎炎が認められた19歳女性

 この人も複雑な経過の人だが、飛び降りから骨盤骨折、その後骨盤以下の難治性感染を繰り返していた。MRSAの感染ももちろん起こり、VCMの投与などを経ていた。その後急性腎炎を併発し、血液透析まで施行されていた。離脱できたが、タンパク尿と血尿が持続するとのこと。感染による尿細管壊死なのか、それともMRSAによる腎炎か・・・それでは半月体形成ってのがおかしいが・・・えっ、足に紫斑?いつから?1年以上??血小板は正常で、関節痛も腹痛もない?確かに組織で半月体ってことは紫斑病性腎炎でよいが。。。

 腎組織をみると荒廃しきった糸球体がゴロゴロ。こりゃ相当以前にやられた糸球体だぞ・・・しかも紫斑病性腎炎ならば高血圧や浮腫を来していたに違いない像だ。今回の腎不全の時にはそんな状況ではなかったことから、これはもっと小児期に起こったものだろう。そこにVCM使用などで尿細管病変等からんで腎不全になったのだろう。今のタンパク尿・血尿は残りカスによるものだから、きっとなにもしようがないだろう。病理の読みは・・・えっ?

 ③ 消化管イレウスと腸管穿孔合併後にネフローゼ症候群を発症したSLEの一例

 これも病歴の複雑な症例だった。精神疾患を抱えていて、それにSLEがからんだようで、腸管の穿孔を数カ所来たし、腸瘻を増設している内に感染を併発するなどミゼラブルな経過を辿っていた。低たんぱく血症と高度タンパク尿を来たし、ネフローゼと診断し、ループス腎炎ならばクラスⅢまたはⅣと考えていたら、なんと組織はクラスⅡだったとのこと。そんなことあるの?っていう症例提示。組織は確かにクラスⅡで、どうも足突起が随分と消失した像であった。文献的にもクラスⅡでネフローゼを来すものもあるが、相当珍しいという。しかし・・・タンパク尿5g程度で血清アルブミン1.5、コレステロール140、BUN 15ってそりゃネフローゼと診断したのはどうだろう。腸瘻や感染で低栄養状態であり、血管透過性が亢進した状態だからの変化じゃないの?ループス腎炎クラスⅡで全くおかしな状況ではないと思うのだが・・・

 てなことで、鬼のいぬまにちょちょいと質問して帰ってきた。小児科の症例より悩ましく、聞くだけならとても面白い。

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