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2009年11月 5日 (木)

見落としちゃならねぇ

 通っている保育園でのインフルエンザ流行具合から、突然の高熱発症で咽頭が真っ赤っかならまずインフルエンザでしょうとお話しした3歳男児。兄弟のことを考えてもタミフルを使っておきましょう、そして3日で解熱しなければもう一度診せてくださいと伝えておいた。

 その後3日経過して下がらないからと来院され、血とレントゲンを精査すると中等度の炎症反応と気管支炎像あり。インフルエンザ迅速検査をすれども陰性。ぐったり感、機嫌の悪さはインフルエンザくさいが、低酸素はないし・・・とりあえず入院して抗生剤を使ってみることにした。

 インフルエンザはこと新型に関して言うと感度がとても低い。鼻からは特に低いので今年は検査するなら口蓋垂の裏から採取することにしている。それでも出ないものは出ないのだが。

 入院翌日・・・・おや・・・目が赤いぞ・・・口は元から赤いけれど・・・掌真っ赤っか・・・・こりゃ川崎病だ!

 てなわけで、アスピリン+ガンマグロブリンを始めると高熱は20時間ほどで解熱してしまった。冠動脈も問題なく、近日中に退院する。

 見逃してはならない疾患というのは経過を追わなくては判らないものだ。だから前にかかった医者は見逃したと思われる親御さんもいるだろうが、それは後出しじゃんけんと同じなのだ。インフルエンザに限らずどんな感染症でも、3日ほどで解熱しないなど状況が好転しない場合は状況を見定めるべきターニングポイントである。それをお話ししておくのとしないのでは雲泥の差が生じてくる。

 話は少し逸れるが、新型インフルエンザはいつものインフルエンザに比べて一端解熱してから再発熱する方が多いように思う。再発熱も肺炎を伴っていなければ1両日中に治まるので心配はないが、ここに痰の詰まった無気肺や肺炎を伴う人が割と多いようにも思う。鼻汁からの迅速検査で陽性率が低く、痰から陽性反応が出ることなどから類推すると、新型はいつものに比べて中枢側で増殖し、じわりじわりと気管支の奥底で蠢いているのではないだろうか。咽頭付近での増殖が一段落すると解熱し、蠢く気管支内での増殖が遅れて症状として現れてくるかのごとき経過だ。

 また感染の広がり方も少し変わっている。鼻粘膜で大量に増殖するいつものやつはくしゃみや咳で容易に広がっていくのだが、今回の新型は激しい運動をしたり、よほど濃厚な接触をしないと広がっていかないようだ。つまり新型は肺の奥底から飛び出してくるために、少々特異な広がり方をする、故に運動部中心に広がったのではないかと思うのだ。もちろん少しずつウイルスは変異しており、爆発的に広がる術を手に入れているからこそ、これだけ広がってきたのだろうと思うが。

 こういったインフルエンザの特徴を自分なりに整理しながら、インフルエンザではない疾患が混ざっていないかを探し当てるのが我々の仕事だ。

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