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2009年10月23日 (金)

川崎病にインフルエンザが合併したら

 全国小児科医を繋ぐメールカンファレンスでとても有意義な情報が舞い込んできたので記載しておく。

 川崎病という原因不明な全身の血管炎症候群がある。心臓の血管に瘤が出来る反応を伴うととてつもなくやっかいな疾患だ。この疾患には昔からアスピリンという薬が使われてきた。抗炎症作用のみならず血小板の働きを抑え、血流をよくするために他ならないが、このアスピリンがくせ者なのだ。なにかってこのアスピリン、元は解熱剤と使用されていたが、インフルエンザなど強いウイルス感染時に使用すると全身(特に肝臓)の臓器障害であるライ症候群を引き起こすことが知られているのだ。だから解熱効果は高いものの、通常小児科医は使用してこなかった。ただ一部には知ってか知らずか使用している人達はいたのだが。。。

 ちなみに中南米でインフルエンザの重症者が多いのは、このアスピリンを使用しているせいではないかと疑われてもいる。

 ということは川崎病とインフルエンザに同時に罹ってしまったときにどうするべきか。それが議論されていたのだ。某都立病院のM先生がとてもわかりやすいコメントをしてくれたので、添付したい。

この問題は明解な指針がなく,施設間で相違があるものと存じます.

当院の方針では,インフルエンザ抗原陽性(臨床的な診断例も同様)の川崎病急性期の場合,

(少量であっても)アスピリンは1週間中止します.

回復期にインフルエンザになった場合(疑いも含む),アスピリンは1週間止め,冠動脈病変例のみ,他の抗血小板薬(パナルジンなど)に変更します.

問題は,インフルエンザと接触があって,川崎病として入院し,迅速検査が陰性であるというケースです.

私が担当医なら,濃厚接触があったら,アスピリンは投与しません.免疫グロブリン療法で解熱して数日見て,気道症状がなければ,アスピリン少量で始めるでしょう.

仮に不応例で発熱が続けば,おそらくアスピリンは使用しないと思います.

ワクチン接種後の患者であれば,(迅速検査陰性を確認し)アスピリンを使うつもりです.

川崎病に関するエビデンスは,すべてアスピリン併用(多くは米国流の80-100mg/kg/day)で確立しています.インフルエンザなどの事情がなければ,当然使うべきです.

ちなみに,フロベンは日本でしか使われず,川崎病のエビデンスは全くないですし,アスピリンより副作用が少ないという保証もありません.急性期に肝機能障害があっても,アスピリン中等量でほぼ問題はなく,現代の川崎病診療では不要であると,私は思っています.

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コメント

アスピリンが肝臓に良くないというのは知っていたので なるべく飲まないように心がけています。が、友達の息子さんが心臓病で新生児の時に大手術をしてその結果アスピリンを最近までずっと飲み続けていましたが 今日の先生の日記で理由がわかりました。血管が弱いからとか聞いていましたが血流をよくするためだったのですね。今は アスピリンが要らなくなったといっていました。彼女は英語が苦手な日本人でご主人も日本の企業にお勤めなので英語は苦手だった様です。医学に関わる用語は必ずしもアメリカ人ですら わからないものが多く 大変困るのですが準備の仕様もなく これが唯一アメリカ生活におけるやっかいな問題なのです。

投稿: | 2009年10月26日 (月) 13時45分

名前を書き忘れました。。。
バリスタUSAでした。
失礼をいたしました。

投稿: バリスタUSA | 2009年10月26日 (月) 13時46分

バリスタUSAさん

 そうですか、アメリカ人でも医学英語には困るわけですね。特殊用語ですからね、いずこにおいても平易な表現で伝えることが必要ということなのでしょう。

 市販の風邪薬と言われるものの中にもアスピリンが混じっていることもあります。ご注意下さい。

投稿: クーデルムーデル | 2009年10月26日 (月) 18時44分

え?そうだったんですか?
本当に何も知らないですね。
英語なら尚更 薬品内容を読み飛ばしてしまう傾向があるので これからは気をつけます。

投稿: バリスタUSA | 2009年10月30日 (金) 08時26分

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