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2009年8月28日 (金)

おそらく

 友の声に押され、ようやく少し元気回復。

 今日は2人の患児を紹介する。

 一人はまだ確証を得ていないのだが、もう3年診ている高校生の女の子。学校検尿でタンパク尿と血尿を指摘されて他院へ。この時は0.3g程度の一日タンパク尿量&30個程度の血尿があり、補体(C3)もわずかに低下していて、ASOは中等度高値にて急性腎炎だろうと言われていた。徐々に尿所見が陰性化するも補体が一向に上がってこないとのことで当院を紹介されたのだった。

 紹介されてからこの方、蛋白尿は時々軽度認めるものの血尿はない。補体は微妙に正常値を下回る程度。蛋白尿が増えてくるなら腎生検と言い続けて3年が過ぎてしまった。本人に全く自覚症状なし。おそらくだが、MPGN(膜性増殖性糸球体腎炎)それもfocalな病態が隠れているのだろうと予想している。SLEといった全身疾患も否定は出来ないが、いずれにせよ今actionを起こさずともよいと思いながらの3年だ。ただ来年は高校3年になる。進学を希望しているとのことだから、まぁまだ待てるか。

 もう一人は4ヶ月の男児。急病診療所で38℃ちょうどの発熱とのことで拝見した子だ。2日前に眼が赤くなり、その後顔と手に発疹が出たので小児科へ行ったところ何ともないと言われたとのこと。こりゃ川崎病の病初期だろうと思い、翌日精査のためうちへ来るようお話しした。

 予定通り来院され、採血したところ白血球を含め炎症反応が高値を示しており、口も赤くなってきたのでやっぱり川崎病だろうと入院してもらった。しかしまだ発熱から2日目、眼が赤くなって4日目とのことで、アスピリン内服のみ開始し、様子を見ることにした。すると入院翌日、すなわち発熱3日目で解熱してしまったのだ。眼も発疹も薄らぎ、口の赤みも和らいでいる。こりゃ一体?と思いながら様子を見ていると、やはりすべての症状が消失してしまった。炎症反応そのものも低下傾向を示し、γグロブリンを使用することなく1週間が過ぎた。眼が赤くなって10日が過ぎた頃、指先の皮が剥け始めた。やっぱり川崎病だったかと、再度採血してみたところ肝機能の悪化と炎症反応のくすぶりが確認された。熱は出ていない。心臓の冠動脈も問題ない。しかし・・・

 親と相談した結果、γグロブリンを使用することにした。問題なく点滴し終わり、現在炎症反応は全く陰性、肝機能も正常化している。膜様落屑という指の皮剥けもほぼ全部の指に起こっている。本人は終始ニコニコ。ミルクもたっぷり飲んでいる。

 病気はその人によって反応が違うものだ。教科書に載っている症状と違うからと否定できるものでもない。ただし疑いを持つのは勝手だが、あてずっぽうは情けない。不必要な検査は、たとえ患者本人や家族が希望しても、ホイホイ行うべきものではない。信念と努力と経験、そしておそらく第六感とか運も味方につけるべきものが医療だと思う。

 

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