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2009年6月 1日 (月)

強気で言った者勝ちか?

 以前ペルテス病という難病の児にステロイドを使う必要性に迫られ、結局使用しても問題なく経過したことを小児腎臓病学会で発表した。

 この症例のキモは、原因不明で突然大腿骨頭の骨壊死を来すペルテス病がまさに状況悪化し始めているところへ、ネフローゼというこれまた原因不明で突然タンパクが尿中に漏れてしまい、身体中からタンパクが失われることによる浮腫・乏尿・呼吸困難・易感染が起こり、これを治療するために大腿骨頭壊死を副作用にもつステロイドを大量に、しかも何度も使用することになったことにある。ステロイドの局所作用として大腿骨頭はどうなるのか。まさに今壊死が起ころうとしているところにステロイドが何を起こすのか。ペルテス病のそれと、ステロイドの副作用としてのそれはどんな違いがあるというのだろう。それらを考えるととても興味深いと思ったのだ。

 しかし学会発表では「ふ~~ん、それで?」という反応だった。なんだか拍子抜けしてしまったが、自分の疑問を解決すべく、いろいろと調べる間にやっぱりこれはもっと注目し、研究すべき問題だと感じるようになった。昨年は暇を見つけては調べ、一本の論文(症例報告という形だけれども)を書き上げた。

 様々な海外雑誌に投稿してみた。しかし良い返事はもらえなかった。自分に一番関わり合いの深いPediatric Nephrologyにももちろん投稿したが、けんもほろろに断られた。こりゃ私の感覚が間違っているのだろうかと落胆していた。もうこれでダメなら、内科系ではなく整形外科の雑誌にと思い、最後にClinical Nephrologyへ投稿した。

 オンライン投稿を済ませ、待つこと1ヶ月。何の返事もアクションもなかった。HPを見ても、査読された形跡も見当たらない。どうなっているのか、受け取れない理由を示せ、他の雑誌へ投稿することも出来なくなるから早くしろとちょっと強気で問い合わせると、手違いで読まれていなかったと弁解のコメントが早速メールされた。気を悪くしないでくれ、もしすぐに他をというのでなければ早速編集局長のDr.某に査読等手配させるのでとのこと。それならあと少しだけ待つとこれまた強気に返答した。

 10日後、ドイツから書類が届いた。ハノーバー在住のProf.からだった。君の考え方にとても興味がある。4つの質問に答えて欲しい。もちろんそれにより論文を掲載することも出来るだろうからとのことだった。早速返事を出すと、論文の初稿刷りを発注したので、ゲラの推敲を後でお願いするとの手紙が先程届いた。

 さすがに強気に出たからということもなかろうが、これまで散々英語がなってないとか頭ごなしに否定されることばかりで英文投稿に疲れていたところなので、ちょっと気分が良い。いや、この内容とっても面白いと私は本気で思っているのだ。だからこそ。

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コメント

いえいえ、「強気で言ったもの勝ち」ではないでしょう。先生の持った興味に共感する医学者がちゃんといたと言うことだと思います。何事も些細なことに興味を持たないと始まりませんよね?僕も現在、英語の論文を書いていますが、自分の表現力のなさにがっくりきます。お互いにちょっとしたことでも興味を持ち続けられる臨床家であり続けたいですね。論文掲載を楽しみにしています。

投稿: Dr.TERU | 2009年6月 2日 (火) 15時53分

Dr.TERUさん

 ありがとうございます。

 大学でもなく大公立病院でもないところで働く医師が論文を出すということにも意義を感じながら書いています。よろしければ掲載論文をお送りしますのでお知らせ下さい。

投稿: クーデルムーデル | 2009年6月 2日 (火) 18時19分

ぜひぜひ、送っていただけるとうれしいです。僕自身、ペルテス病は出会ったことがありませんし、さらにネフローゼが合併しているとなると腎臓の専門家に任せることに間違いなくなるだろうと思いますが、個人的にはとても知りたいです。

投稿: Dr.TERU | 2009年6月 2日 (火) 18時43分

Dr.TERUさん

 了解致しました。先方からPDFでくるようでしたらメールでお送りします。原稿という形ならまたメールで送り先教えてください。

投稿: クーデルムーデル | 2009年6月 3日 (水) 08時37分

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