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2009年5月15日 (金)

誰のせいでもないのがウイルス感染

 飛沫感染してしまうウイルスは誰でも感染しうるもの。流行している地域が判るなら行かないこと、そしてどうしても行かねばならないときは人混みを避け、まめに手洗い・うがい・マスクをするべき。それでも100%予防はありえない。誰のせいでもなく、ウイルスはやってくる。潜伏期間もあるため、水際で封じ込めなど出来るものではない。罹患者の隔離の徹底や感染率の低さで感染者が予想以上に少ない場合は有効な作戦ではあるが。

 このたびのトンフル(Swine Flu)はパニックを起こすまでもない弱毒ウイルス。それでも死亡率0.4%と通常の季節性インフルエンザより10倍ほど死亡率は高い。何倍死亡率が高いと言われるとそれだけでものすごいことのように聞こえるが、少なくとも高水準の医療環境下で亡くなった方を調べると、あわてる必要はないことが判る。米国で亡くなった3名は、

①22ヶ月の重症筋無力症合併幼児

②33歳の喘息・リウマチ性関節炎・乾癬合併女性

③妊婦(帝王切開にて児は正常に分娩)

だった。喘息などの基礎疾患を持っている方、妊産婦、乳幼児、そして高齢者はやはり気を付けなければならない。もちろん彼らの家族も気を付けるべきだろう。

 その他の人も他人事と片づけるのは早計だ。感染を拡大させれば社会が麻痺することにもなりかねない。死亡率はそれほど高くなくとも感染率は高い。つまりそれは一定期間、辛い症状に見舞われる人が爆発的に増える可能性があるということだ。社会を混乱に陥れようとするテロリストならいざしらず、通常の良心的市民であれば、咳エチケットなどを実践し、感染拡大させぬよう努めるべきだろう。そしてもし罹っても、慌てず騒がず、家の中でジッとしていることだ。

 感染者を死神のごとく差別するのは言語道断だ。誰のせいでもなく、誰にでも感染は起こりうる。この差別感情を増長させるような報道は許し難い。感染者の個人情報や隔離病院を公表する必要性はない。報道に罰則規定を設け、厳しく処罰すべきだろう。

 風邪様症状で、病院へ行くべきか迷っている方。風邪は医療で治るものではない。栄養補給に努め、寝て治すのが一番だ。風邪薬などとCMにあるが、飲んでも治るものではない。症状を少し和らげて、働ける状態にするだけのことだ。早く病院へ行って、風邪薬を処方して貰うというのは全く理論的ではない。咳も痰も鼻水もウイルスを排除するための生理現象なのだ。これを良い機会として、国民一人一人が考えを改めるべきだ。風邪で病院へ行くのはやめなさい。病院へ行かねばならないのは、基礎疾患のある方、熱が3日以上続く方、呼吸が明らかに浅く・早く・顔色の悪い方だ。ひどい咳が1週間以上続くのも行くべきだろう。指針も公表されているので確認して欲しい。

 インフルエンザは30℃以上80%以上の湿度環境では感染力がガクンと落ちる。これからの高温多湿環境を考えると、日本において大流行は考えにくい。あるとすればこの冬のインフルエンザ流行時期が警戒すべき季節だ。おそらくワクチンが開発されるであろう。いつものインフルエンザは罹らない人でも、トンフルには免疫を持っていないはず。積極的にワクチン接種して欲しい。自治体はタミフルを用意する前に、咳エチケットや自宅療養の勧めの啓蒙およびワクチン導入を入念に行うべきだ。

 それでもこの冬はとんでもなくインフルエンザ症状の患者さんが増えて、外来&病棟はてんてこ舞いになるだろう。喘息の患者さんや腎疾患を抱える人達を専門外来に移して対処するなどしなくてはならない。受診の動線をうまく考えないと・・・

 さて今日の夕飯はとんかつにするかな。

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