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2009年3月 8日 (日)

これで笑顔は作れない

 身近でおこった実際の診療録である。

 保育園に通う年少児。37℃前後の発熱が朝からあると来院。咳も鼻水もなく、視診でも咽頭発赤もなかった。何より活気に満ちあふれ、食欲も問題ないとのことであった。この場合たとえインフルエンザ感染の初期としても、発熱からの時間経過の短さから検査の適応外となる。当然、様子をみるだけで良いと帰宅させたところ、その後熱は39℃まで上昇し、夕方別の医院でインフルエンザと診断されたらしい。

 それだけならよくある話だが、この児の親御さんは朝検査しなかった対応に腹が立ったらしい、どうして検査しなかったのかと父親がクレームをつけてきた。連れてきたのは母親だったらしいので、そこで話の行き違いがあったのかもしれない。それにしても診断のための検査をするかしないかは医者の裁量であろう。このクレームに医者が対応しなくてはならないのもおかしい。

 もうひとつ。耳が痛いと来院した女児。父親は母親にいつも耳鼻科でもらっている薬をもらって来て欲しいと頼まれ、女児と救急診療所を訪れた。しかし救急診療所は総合病院ではなく、薬局には緊急用の薬と申し訳程度の抗生剤&対症療法薬しか置いていない。時間的に院外処方を処方するシステムもない。診察した医者が自分の裁量で処方することを提案するも、父親は納得せず、自分の携帯の写メ画面に映る処方箋を診察医の鼻先に突きつけ、これをよこせと言う。非常に温厚な彼は、はっきりと見えないその画面から想像する救急診療所薬局にある薬を見繕って渡した。しかしその画面からは通常頓服で使用しない薬が頓用として書かれているように見えたらしい。丁寧に説明し、一日3回飲むよう伝えて帰したとのことだった。

 数時間後にその母親から激しい怒りの電話が鳴った。鎮痛剤の頓服がないとのことだった。

 もちろん今回処方した医者は鎮痛剤のお話もしていた。抗生剤の本来の使い方を含めて丁寧にお話したらしい。しかしそれらを拒んだのは父親だ。携帯の画面からお前の処方はおかしいと食ってかかっていたのだ。

 私の立場からするとこれは医者の裁量権の侵害であり、断固抗議するところだ。

 非医療者の立場から見てどうであろう?

 

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コメント

このような方々に正しい情報を知らせるとか教育する場がないのが困りもの。
間違った知識をもとに生活されているのは危険ですね。
「知らない」事は罪つくり。

投稿: ポット | 2009年3月 9日 (月) 11時14分

お気の毒に。いえ、こういうクレームをつけられるお医者さんも大変ですが、クレームをつける方にも同情してしまいます。医者の判断より自分の判断を重視することで、面倒なことになるのは自分の方なのに。
 
お医者さん信用した方が、楽ですよ~ (^o^)

投稿: ポリ | 2009年3月 9日 (月) 13時33分

聞いているだけでも疲れそうですね。お疲れ様ですm(_ _)m

二つの話で共通するのは
<夫婦間で責任の丸投げ>ではないでしょうか??
我が家の場合、微熱のみの症状なら、まず診察はしないですね。
症状が進んだところで、診療をするかしないか様子をみて、判断します。結局、通院も二度手間ですし。
病院に慣れていない主人が子供を連れて行く場合なら、症状・経過を書いたメモ・薬手帳を渡します。


そこで<思うとおりに事が進まなかった>大人が責任を擦り付けて挙句にクレームですか。
夫婦間で連携が取れていれば、起きなさそうな問題でしょうね。

親の言い合いを病床で聞く子も可愛そうです(ノ_-。)

というのが、受診をする人の親としての考えです。ハイ。

投稿: 鳥兄弟 | 2009年3月 9日 (月) 16時29分

ポットさん

 そのために医者が話をしているはずなんです。対応した医者2人はどちらも私より遙かに丁寧に説明する医者です。

投稿: クーデルムーデル | 2009年3月 9日 (月) 19時18分

ポリさん

 そうなんです。言い方は悪いですが、
「それなら好きにしてください。私はどうなっても知りません。」ってことになっちゃいます。それで損をするのは子供なのに・・・

投稿: クーデルムーデル | 2009年3月 9日 (月) 19時19分

鳥兄弟さん

 そんな夫婦間トラブルにもかかわらずこの2人の医者は、どちらもさらに丁寧に説明しておりました。

 それはちょ~っと で~きぃ~ない~相談ねぇ~~って感じです。

投稿: クーデルムーデル | 2009年3月 9日 (月) 19時24分

聞いただけで疲れますね… お医者様も大変です
私も看護師をしているので、子供の受診時には頭を抱えてしまうことが時折あります。
先生のお知り合いにはいらっしゃらないでしょうが、持病の薬を小児救急の先生に見せたところ、何故このような薬を長期内服させるのかと怒鳴られたことも… もちろん相手は私が看護師だなんてしるはずもなく、これが普通のママだったらどんなに悲しくつらいだろうと思いました。その時はわかりませ~んっとながしましたが…

ただ一つ言えるのは子供が急病な時こそ、信頼関係が試されるのかな…なんてエラソーにすみませんっ

投稿: ゆーと | 2009年3月 9日 (月) 22時10分

先生、薬が目当ての親に何を言っても無駄です。話じゃなく薬が欲しいだけなんだから。医者の話より井戸端会議を信じる人種なんです。

投稿: ポット | 2009年3月10日 (火) 02時23分

ゆーとさん

 その場合親御さんを責めても仕方ないと思うのですが・・・たまにそういう処方を見かけたとき、どう言われて使っていたのか尋ねていますが、たいてい説明なしのようですね。

 一言で説明とかインフォームドコンセントと言っても、千差万別でなかなか難しいものです。

投稿: クーデルムーデル | 2009年3月10日 (火) 12時34分

ポットさん

 それを言っちゃあ・・・

 悲しすぎますので、たまにぼやきたくなるのです。

投稿: クーデルムーデル | 2009年3月10日 (火) 12時35分

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