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2009年2月24日 (火)

人世の師の言葉

 高校時代の恩師である、堀先生は物理の先生だった。私は先生の本職である物理の授業はもとより、合間に語られる人生訓に魅せられた一人だった。

 ある日先生はこう話してくれた。

 「なぁ、おまえさんがた。わしの物理の授業なんてどうでもええ。勉強したいことがあったら、とことんそればっかり考えりゃええだ。もちろん、試験で落ちりゃそりゃ知らんこった。じゃがな、これからはただ生きるっちゅう人と、突き詰めて考える人がハッキリと分かれる時代がくるじゃろう。なんも考えん人は働かんでも食うていける。そいでもそういう人は働くことができんようになるだが。考える人はだな~、無茶苦茶働かんといけんようになる。ほいじゃが、毎日いろんな新しいことを考えながら生きることができるっちゅうわけだ。どっちになりたいか、よう考えにゃいかん。わしらの時代は、考えとーても戦争に行って死んだもんもおる。死にゃーせんけー生きとるだけでええって、そう思えるならそれでもええ。」

 ずり落ちた細い銀縁の眼鏡を時々擦りあげながら語ってくれたこの言葉。

 「先生、やっぱり昔も今も、毎日考え抜いてチャレンジするのが一番です。」

 そう言ったら、きっと先生はあの子供みたいな笑顔で頷いてくれるのだろう。

 先程留学先から戻り、帰国報告をしてくれた同僚医師の話を聞きながら、先生の言葉を思い出していた。

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