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2008年9月 8日 (月)

きびしい川崎病

 川崎病の男の子。熱が出て4日目に来院し、川崎病と診断し、翌日朝からγグロブリンを始めた。

 川崎病は原因不明の全身性血管炎だ。なによりその合併症として心臓の筋肉を動かすための栄養血管である冠動脈に瘤ができることが問題だ。瘤が出来れば血流が悪くなり、心筋梗塞や心筋破裂を起こしてしまう恐ろしい合併症なのだ。それを防ぐため様々な治療が試されてきた。現在の第一選択はγグロブリンの大量療法である。しかし彼にはそれが効かなかった。

 一回目で効かない場合、もう一度投与する方法がとられる場合が多い。私ももう一度トライすることを勧め、同時にウリナスタチンという薬も併用した。しかし解熱してくれない。残された治療は多くはないが、ステロイドをやってみた。解熱し、炎症反応もグンと改善した。ステロイドとしてPSL 2mg/kgを3日間で症状が全く消失し、続けて1mg/kgを3日間、膜様落屑も認めたため0.5mg/kg3日間連日投与で終了した。本日からステロイドがなくなった。明日熱がなければ心エコーして帰ろうと言っていた矢先、先ほどから38℃を越える発熱・・・・川崎病再燃だろうか・・・・

 一筋縄でいかない患児がまたここに一人。病気は本当に人それぞれなのだ。

 追記:ステロイドがそれじゃあ少ないとか期間が短いというご意見があると思います。私ならこれを勧めるという治療法についても忌憚なきご意見をお待ちしております。

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コメント

患者も診ていないのに無責任な言いっぱなしになりそうだけど‥
自分にはこんな難治例の経験がないのでますます無責任です.
ステロイドを使っている先生たちの話を聞くと長めに使っているみたいですね.
ステロイドが効く血管炎でステロイド依存性を呈するのならって発想で思いつくのは.
先生も使い慣れたシクロかブレジニンですかね.
KDへのシクロは報告もあるみたいだし.でもちょっと抵抗があるなぁ.
ほんの思いつきを許していただければ,DDSとか効くかも知れないと思ってしまいました.

投稿: Diabo com Fome | 2008年9月 9日 (火) 18時13分

Diabo com Fomeさん

 昨日の心エコーで左冠動脈がソーセージのごとく数珠状に膨らんでいました。こうなると川崎病を押さえ込むためではなく、心臓の詳細な評価と長いフォローアップを必要とするため心臓の専門家にお願いするほかなく、転院していただくことにしました。

 転院先の専門家によると、この経過であれば長くステロイドを使っていても結果は同じだろうとのことでした。駄目かもしれないがシクロスポリンを使ってみますとのことでした。どうも千葉の専門家たちの間でシクロスポリンを使う研究を立ち上げたところのようでした。

 大変残念な結果になりました。ここへ来て5年。毎月1~2例の川崎病患者さんを担当してきましたが、瘤になってしまうのは初めてです。悔しくて申し訳なくって、泣けてきました。

 次の記事で対策について考察します。

投稿: クーデルムーデル | 2008年9月10日 (水) 08時57分

こんばんは

私の感じたことをエントリーにまとめました。


http://swedenhouse-oita.cocolog-nifty.com/pediatrics/2008/09/post-213f.html

です。

投稿: いなか小児科医 | 2008年9月13日 (土) 00時49分

いなか小児科医様から参りました。ステロイドの議論がちょっと気になるので。私はもともと川崎病へのステロイド使用に否定的な立場ですので少しさっ引いて考えて欲しいですが、現在はいかにcytokine stormを上手に鎮静化するかという考えが正しいのではと考えています。横浜市立大学の横田先生、森先生方の考え方、方針は参考になると思います。私はグロブリン不応と判定すれば、ステロイドを挟む前にレミケードに行くのかなと考えています。

投稿: 小児心臓やってます | 2008年9月13日 (土) 17時29分

いなか小児科医さん

 記事を書いていただきありがとうございました。

 本患児は先方でCyAを始めたとのことでした。経過が判ればまた記事にします。

投稿: クーデルムーデル | 2008年9月14日 (日) 07時31分

小児心臓やってますさん

 コメントありがとうございます。cytokine stormを沈静化するためにステロイドをという考え方は間違ったものではないと私は思います。だからこそステロイドの効果が川崎病で再認識されてきたということでしょう。実際の臨床現場で、cytokine stormと考えられる病気・病態は様々報告され、それに対しステロイドの投与、それも大量療法で押さえ込むことはよく経験するところではないでしょうか。(もちろんこの大量療法は効かないという研究者がいることも存じております。)

 インフリキシマブもTNFαを抑制しますが、川崎病の血管炎が抗TNFαだけで抑えが効くものか疑問です。なにより副作用がよくわかっていない(特に長期において)ことと、その後の管理において予想もしないことが起こりうるという点で、循環器専門を名乗らない一般病院の一小児科医には使いづらい薬剤であることは間違いありません。横市の横田先生のアグレッシブな臨床姿勢にはいつも感嘆をもって伺い、その門下の先生方とは親しくさせていただいていますが、それでもまだ使えません。

投稿: クーデルムーデル | 2008年9月14日 (日) 07時53分

こんばんわ。膜様落屑後の最発熱は再燃と言うのが正しいのでしょう。ステロイドを使わなければならない子は重症で、コブができてしまうことが多いです。私も先生の治療方針が間違っているとは思いません。最初に予測できてγグロブリン+αの治療が併用できればいいのですが、むずかしいでしょうね。今後のstudyの結果が待たれます。治療前の尿中β2ミクログロブリンが高い子に悪い子が多い印象があります。CyAが効いて巨大瘤にならなければいいですね。そうすれば狭窄性病変ができる危険も少なくなり、自然退縮も期待できます。私の患者さんで4-5mmの瘤を残しましたが狭窄はなく、各種検査でも虚血の所見がないのでガンガン運動して、バスケでインターハイに出た子もいます。

投稿: 下京の小児科医 | 2008年9月14日 (日) 21時19分

下京の小児科医さん

 コメントありがとうございます。このような辺境の医療系ブログで川崎病のステロイド談義ができるなんて、本当に皆様のおかげと感謝しております。

 尿中のβ2MGが高いということは、腎臓内の血管炎による尿細管傷害というよりcytokine stormによる血中β2MG増加と考えるべきでしょうか。

 またご指摘の通り膜様落屑の後の発熱だったので、これは再燃なのかそれとも抑えきっていないということなのかと悩みました。再燃と考えるならもう一度γグロブリンでいくのもありですが、抑えきっていないならステロイドをもう少し長く使うべきだったのではなどと考えた次第です。解熱し、炎症反応も激減し、膜様落屑も出て来たので安心してしまったのかもしれません。

投稿: クーデルムーデル | 2008年9月15日 (月) 03時26分

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