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2008年9月10日 (水)

γグロブリン不応川崎病

 川崎病にγグロブリンを使用することについて異論のある人は少ないはずだ。まずはこれを使ってみて反応をみるのが常套手段だ。

 川崎病の治療目的は合併症である冠動脈瘤を作らないことに他ならない。発症と同時に急激に瘤の出来る劇症型は別として、通常の川崎病ならまずは全身の血管炎症状を押さえ込むことがそれの近道だ。血管炎を押さえる薬剤として思い浮かぶものはいくつかある。γグロブリンの他好中球の働きを押さえるウリナスタチンやエラスターゼ阻害剤、ステロイド、免疫抑制剤であるシクロスポリン、ミゾリビン、血漿交換もよいだろうし、最近流行の生物学的薬剤である~マブもあり得るだろう。しかしこと川崎病に使用して効果のあると言われているものはγグロブリンの他は大差ない。そのγグロブリンが効かなかった時にどうするのか、それはまだはっきりした答えがない。多くの施設でもう一度γグロブリンを使用するという方針をとっているようだが、決まりがないというのが実情だ。ある施設では効かなければステロイドを通常量で使い、またある施設ではステロイドの大量療法を選択している。また他の施設ではシクロスポリンを試してみたり、いろいろ混合で使用してみたりもある。

 実はステロイドは以前川崎病で使用すると瘤の発生を増長してしまうとの発表がなされ、しばらく全く使われない時期があった。しかし疾病理論からもステロイドの有用性が見直され、最近ステロイドの効果を再認識する論文が相次いで発表されている。γグロブリン不応の川崎病に使用され、瘤を作らず押さえ込んだというものだ。とすればγグロブリンが効きづらい症例が予測できれば、早期にステロイドを使用することが可能になる。それ故最近ではγグロブリン不応予測値の研究がいたるところで行われ、誰それのスコアなる予測値が氾濫している。

 今年の小児科学会で、この予測値とステロイド治療を組み合わせた研究の立ち上げが発表された。予測値を元に不応例と予想される症例を二つにわけ、一つにはγグロブリンを、もう一つにはγグロブリンとステロイドを合わせて使うというDouble-Blind studyだ。早ければ来年早々にこの研究が厚労省の助成を受けて始まる。ステロイドの量が少なく、どうかと思うところはあるが、主旨に賛同し、私たちの施設でもこれに登録することにしている。

 振り返って、今回の児は予測上不応例であった。もしかして最初からステロイドを使っていたらどうだったか・・・しかしそれは誰にも予想は出来ず、しかもステロイドを最初から使う根拠もまるでないのだ。

 悶々とした日々がこれからも続くことだろう。しかしいつの日か必ず良い治療方法が見いだされ、そして川崎病の原因も特定できる日がくると信じている。微力ながらその手伝いが出来ればと願うばかりである。

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