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2008年9月 2日 (火)

ダラダラFSGS

 FSGSという疾患がある。日本語名で巣状糸球体硬化症という。子どもの場合、ステロイドの効かないネフローゼ症候群に対し腎生検をしたらこれが発見されるというケースが多い。治療法も難しく、腎不全へ移行する率が高い腎疾患として知られている。世界中の小児腎臓病研究者たちが、この病気の治療方法を模索している。今のところ一番有効と思われる方法が、ステロイドの大量療法(パルス療法)と免疫抑制剤を組み合わせる方法だ。それにしても副作用を考慮しなくてはならず、しかも絶対に効くというわけではないところが問題だ。

 ネフローゼ状態にある子どもならば、浮腫もあり、身体のだるさ・所在なさを感じ、なんとかしなくてはと医療者も親も親戚も、なにより本人が思うことだろう。しかし蛋白尿が一日1g程度しか出ないネフローゼレベルではない状態の子供たちは、自覚症状なく、本人はもとより親も親戚もピンとこないものだ。そんな子供の腎生検でFSGSを認めたらどうだろう・・・

 実はそんなはっきりとした自覚&他覚症状のない、いわゆる軽~中等度蛋白尿(あってもネフローゼレベルへ達しない蛋白尿量)しかないFSGSをダラダラFSGSと僕らは呼んでいる。ダラダラだからその後の経過もそんなに悪くないのかと思いきや、結構な率で腎不全になっているようだ。「ようだ」と言うには訳があって、きちんとしたデータがまだない。そりゃそうだ、定義も名前も決まっておらず、だからこそダラダラFSGSなどと呼んでいるのだから。

 この夏、一人のダラダラFSGSを患う中学生にまずは通常のステロイドを使用してみた。しかし全く効果なく、今日からステロイドのパルス療法+免疫抑制剤療法を行うこととした。もちろん親御さんの不安は相当なものだ。腎不全の話もしたが、本人が全く自覚症状もないところに、ステロイドの大量投与を行うというのだから、ちょっと待ってとなるのが筋だろう。なんども話し合いをして、ようやく納得してもらった。

 何より効くことを願うばかりだ。ステロイドを始めても蛋白尿は減るどころか増えるばかりで、放っておけばあと数週間でネフローゼに陥ることだろう。免疫抑制剤だけで経過をみる方法もなくはないが、今年末には受験も控えている。身長獲得のためにも今ステロイドを使うのは・・・・・何が一番彼にとってよいことか、難しい舵取りなのだ。

 

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コメント

初めまして。初コメントです。今は診療所の非常勤小児科医をしています。昔FGSの患者の外来管理をしたことがあります。当時小学生高学年の、ステロイド+シクロスポリン治療していた子どものことを思い出しました。やっぱり自覚がないので内服管理がしっかり行われていなくて、苦労しました。腎疾患は自覚が薄いわりに、予後が悪いこともあるので難しいと私も思いました。治療がうまくいくことを祈っています。

投稿: ざき | 2008年9月 2日 (火) 23時05分

ざきさん

 コメントありがとうございます。

 おっしゃるとおりで、自覚なく、しかも副作用があるので、服薬を続けるのがとても難しい疾患ですよね。

 これからどうなりますか・・・

 応援よろしくお願いいたします。

投稿: クーデルムーデル | 2008年9月 2日 (火) 23時12分

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