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2008年4月 1日 (火)

メタボ検診なんて

 予防医学花盛りである。誰だって病気になりたくはない。予防が可能で有ればそれはとてもよいことであろう。ただし本当に予防となったのかどうかを知ることは難しい。少なくとも個で考えるのではなく、全体(マス)で考えなくては話が進まない。ある人は予防を取り入れていたにもかかわらず病気になってしまったとしても、それイコール予防の失敗ではない。マスで病気の発生が減っていればそれは成功とする他ないのだ。

 予防医学と並んで早期発見早期治療を目標とした検診にも過剰な期待が寄せられている。昨今疾患によってはすでに克服する術を手に入れているものもあるが、にっちもさっちもいかない病気は多い。それでも早期に発見すれば治療可能である病気もあるのは事実だ。ではどれほどの間隔で検診をすべきなのか。2、3ヶ月に一度受けるのであれば確かに早期発見には役立つだろう。しかし年一回検診を受ける人の場合、今年の検診で異常なしと言われたら次は1年後なのだ。ほんの少しの異常のため見逃された疾患があったなら、それを例えば一年間放置したらどうなるであろう。個人的にはうまく病気が見つかって早期治療に漕ぎ着けられた方もいることだろう。しかしマスで考えるとどうなるだろうか。

 そういったことをコストを基準にして考えてみる医療統計がある。すると検診は一部を除き割に合わないことが判る。それでも「健康を保つためにコストがかかるのは当然だし、安心料だ。」と仰る方は多いだろう。しかしそれが国家予算を使っての話であればどうか。金満日本の時代ならばそれでもよかっただろう。しかし借金だらけでおまけに就労人口がどんどん少なくなる時代である。医療費も抑制しなくてはと躍起になっているところなのだ。医療費の抑制に検診が貢献するはず?そりゃ幻想以外の何物でもない。成長産業として使うというなら別で実際にお金の流れを計算しているサイトもある。これを見ると政府はこれを狙っているのだなと理解したくなる。

 マスで考えるならタバコを禁止し、腹囲85cm以上は食事制限&運動を義務づけるのが医療費を抑制し国民を健康にする一番手っ取り早い方法だろう。もちろん罰則付きの法律制定にすれば効果は高いはずだ。タバコ産業からの税収や新しいメタボ対策産業からの税収を換算するから、タバコは野放しでメタボ検診も行われるのだ。

 検診が義務化され、会社なら部署ごとに腹囲を計測し、制限を守らなかったら減給。そのうち子供達にまでその考えが広がり、デブは差別の対象となり激しいいじめに遭う。デブの見本市みたいな大相撲中継などもってのほか。柔道も腹囲85cm以上は試合に出られない・・・・

 そんなバカなと仰る方がほとんどであろうが、今や学校の先生や保健士さんが子供達にメタボになるから痩せなさいと平気で話してしまう時代なのだ。私は外来でその話を聞き、怒りで身体が震える思いをしている。その一言がどれだけ子供達の未来を奪っているかをもっと知って欲しい。

 メタボ検診は以上のことが詰まっているのだ。個人的にお金を払って検診を受けるのを止めるものではないし、メタボリックシンドロームのドミノを食い止めることが生活習慣病対策に重要であることも否定しない。しかし自治体が検診を無料化するなど、ガソリン税廃止と同じくらいアホなことだと思うのだ。

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コメント

石田仁さん

 コメントありがとうございました。残念ながら個人名が書かれていたので非公開とさせていただきました。

 ご指摘頂いてすぐ薪ブログアドレスを更新いたしました。今後も楽しみにしております。またコメントもちょくちょく頂けると励みになります。どうぞ宜しくお願い致します。

投稿: クーデルムーデル | 2008年5月10日 (土) 13時16分

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