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2008年3月 8日 (土)

故郷鳥取

 鳥取は山陰地方である。島根県とどちらが東側か判らない人が多い県である。日本の都道府県の中で最も人口が少なく、60数万人しかいない弱小県である。

 人が少ないから自然は残っている。しかし京阪神に近いにもかかわらずというところが異常で、結局企業誘致が出来ぬまま過疎化の一途を辿っているのである。

 夏の気候は日向で暑く、日陰で涼しいという過ごしやすさだが、冬は青空を拝むのが非常に難しいほど雨や雪が降り続く。昔は平野部でも膝くらいまで雪に埋もれていた。しかし最近はとても少ないと聞く。それでもやはり晴れはしないらしい。

 人間は気候と同じく暗く、ジメジメしている(人が多い)。懐に一物持っているような、そんな排他的なものは内に隠そうとしながら隠せずにいる人達だ。しかし一度県外に出てしまうとそんなことどうでもよくなってしまうかのように明るくなる人が多いのも特徴だ。

 特産品は数多い。梨、西瓜、らっきょう、長いもなどは全国でも有数の産地であるし、松葉蟹をはじめとして海産物も宝庫と言ってよいだろう。私が大好きなのは岩牡蠣で、夏になるとでっぷりしたトロトロの牡蠣を海に潜って採りながら食べていた。他にはモサエビやちょいと臭いのきつい干し鰈(エテカレイ)を炙って食べるのも絶品である。

 神話の里としても名高く、大国主命と因幡の白ウサギの話をはじめとして数多くの神話・伝説がそこここに記されている。歴史の舞台として有名なのは後醍醐天皇が船上山にお隠れになり、時勢を見計らっていたことが知られているが、もっと古い年代では近畿と出雲を結ぶ要所として国分寺などが建てられ、今とは逆に表日本として栄えていた。

 人がおらず山も深く自然豊かであれば、水はとても美味くなる。水が美味ければ米も美味いし酒も旨くなる。酒は諏訪酒造の諏訪泉もしくは満天星を飲んでみて欲しい。非常にさわやかな清流を感じることだろう。どっしりしたものがよければ青谷の酒、日置桜がよい。どちらも誇りに思える素晴らしい日本酒だ。

 行ってみて欲しいところがあるとすると、三徳山の投入堂だ。岩山の壁にすっぽりと投げ入れたかのように佇むお堂には仰天すること間違いない。

 私は生まれ育った鳥取が好きだ。人がどうであろうと、湖山池を染める朝焼けを見ながら釣った手長エビや、夕日を包み込む白兎海岸で見たたつのおとしごが私の心に今も住み着いているのだ。自転車で通い馴れた道、恋をして涙を拭いた海岸、街角の駄菓子屋、つぶれそうでつぶれない文房具屋(貧乏具店と呼んでいた)、いつも空いていたラーメン屋、買わずに読みあさった書店。みんな私の中にひっそりと佇んでいる。

そう、やはりなんといってもここが私の原点なのだ。

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コメント

故郷は遠くにありて思うもの。。。。
実感します。
貧乏具店は 面白い。彷彿とさせるものがあります。
私の故郷は住宅化してしまって 昔日の面影はありませんが。。。

投稿: 犬と猿 | 2008年3月 8日 (土) 16時34分

犬と猿さん

 故郷がいつまでも昔のまま残っているという点で私は恵まれているのかもしれませんね。

 栄えて欲しいような、欲しくないようなです。きっと昔の恋人は永遠に美しいままでいて欲しいというのと同じなのでしょうが。

投稿: クーデルムーデル | 2008年3月 9日 (日) 08時45分

「自分が好きなところ」と「今住みたいところ」は必ずしも一致しないんですよね・・・

私が故郷を想う気持ちも、クーデルムーデルさんのそれと同じなのですが、今そこに住みたいかと言われると、口ごもってしまいます。

投稿: ポリ | 2008年3月 9日 (日) 18時12分

ポリさん

 中・高校と同級生で毎年必ず会って話をしていた友人がいます。彼は私と同じように鳥取を離れ、大学&就職と別の土地におりました。縁あって再び鳥取に戻った彼は「なぜ僕が鳥取を離れたいと思っていたか、あの頃(高校生のとき)の気持が(鳥取へ)戻ってきたことでようやく判った。」と話しておりました。

 今はとても懐かしく、戻りたいという気持もあるのですが、やはり戻れば出たくなるだけにも思います。なんといっても仕事はこちらの方がしやすいですし。

投稿: クーデルムーデル | 2008年3月10日 (月) 08時39分

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