某記念病院で歯科医による麻酔が重大事故を引き起こしたと報道された。
歯科医は国から資格をもらい、観血的処置ができる職業の一つである。当然患者に麻酔を施し、疾患に対処することが求められる。日常的に麻酔を行うのではあるが、通常の歯科麻酔では循環のコントロールまでしなくてはならない疾患を扱うことはない。しかし麻酔薬を投与すると人によっては全身管理を施さなくてはならない重篤な状況に陥ることもありえる。しかもそれは予想できるものではない。それ故全身管理の基礎を学び、麻酔でどういったことが起こりえるのかを勉強する機会として、大学病院などで麻酔科を研修するシステムがある。
歯科麻酔を行う上で、指導医が付き添うのは当たり前であろう。勉強に来ている人の面倒を見られないのであれば、受け入れるべきではない。慣れてくるころが一番危ないのはどの世界でも一緒で、だからこそ指導医が目を光らせておかなくてはならないものだろう。その点で今回落ち度があったのは否めない。患者を守る意味でも、研修生である歯科医を守る意味でも必要なことだろう。
しかし今回知ったことであるが、麻酔を受ける患者に歯科医であることを告げなくてはならないという決まりはどうなのだろうか。昨今の風潮からは告知は必要というのはわからないでもないが、それではどれだけの人が納得して麻酔をかけさせてくれるだろうか。
緊急でない限り、手術の前に麻酔科医は患者の元へ出向き、容態や既往などの情報を直接得ている。麻酔のリスクを考える上で大変重要なことなので、私も麻酔科を研修した際にはキッチリ実行していた。研修医時代であったため、それと判る人には研修医と判っていただろう、宜しくお願いしますと頼まれる時と、研修医に命を預けるわけにはいかないと拒否までいかずとも疑心を向けられる時があった。昨今であれば研修の歯科医ですと名乗るだけで、それ以上の反発があってもおかしくなかろう。指導医と一緒に出向くならそれも良いかもしれないが・・・
断っておくが歯科医も優秀な人材は数多くいて、しっかりと全身管理できる研修生も多いのだ。私の友人にもキッチリ研修を終えた歯科医がいるが、とても信頼できる医者である。ちゃらんぽらんな研修医よりもやる気満々で研修を受ける歯科研修医の方がよほど使えることもあるだろう。それを考えると、今回の報道で歯科医に麻酔の研修を辞めさせるのではなく、もっと身近に歯科麻酔を感じてもらう機会になればと思うのだ。そのためには研修させる側のシステムをキチンと構築しなくてはならないだろう。その上で自信を持って歯科医が麻酔をかけますと言って欲しいものだ。
幼い頃に前歯の治療で麻酔の注射を受けたことを思い出す。
あれは本当に痛かったな・・・・歯医者さん、頼むよ。
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