« 怪我してる? | トップページ | 晴ればかりの梅雨 »

2007年6月17日 (日)

病気腎移植のその後

 病気腎移植を施した41症例をオーストラリアの医師が学会報告したと報道があった。10年ほどの経過でその中には腎癌移植も含まれており、癌の発生などはなかったとのことであった。詳細は新聞報道であり、不明である。

 腎移植は移植さえすればその後寿命を全うするまでその腎臓が使えるというわけではない。およそ10年ほど経過すると、様々な影響により移植腎そのものがダメになってくることがある。そういった意味で10年癌を患うことなく経過するなら、小さな癌のあった腎臓を癌の摘出後他人に移植することも将来的に許されることになるかもしれない。それにしても免疫抑制剤下における癌の動向が、試験管内や人体内でどうなっていくのかもう一度しっかりした検証が必要なのではないだろうか。腎癌の性質にもよるだろうが、早急に調べる必要があるだろう。

 この報告で我が国の某医師が行った行為が許されるというわけではない。オーストラリアの報告も詳細を見ないとわからないが、少なくとも同意をしっかりと取っていたことから個人主義・個人の選択の自由と責任において先進的なオーストラリアでは許されることだったかもしれない。ただし以前にも述べたが、免疫抑制剤下での癌の動きが不明な現在において移植を個人の自由とすることは、癌への恐怖とも戦うことになるレシピエントの方々のために医療者側の責任を問われなければならないと私は思う。それに対し同意もろくにとっていなかった某医師の行為は患者のためではなく自分のためとしかとらえられない、断罪されるべき行為である。

 昨今どのような医学研究を行うにせよ、しっかりとしたプランをたて、良悪起こりうるすべてを記し、それを倫理委員会に提出した上で患者さんに同意をもらうという手続きがなされない限り認められない。例え学会報告しようとも認められず却下されてしまうものだ。それが高度に発達した医学の暴走を止める術なのである。

 できることとやっていいことは違うのだ。そこが世の中随分とゆがんできているように思う。

|

« 怪我してる? | トップページ | 晴ればかりの梅雨 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/144860/6817798

この記事へのトラックバック一覧です: 病気腎移植のその後:

« 怪我してる? | トップページ | 晴ればかりの梅雨 »