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2007年5月15日 (火)

この先

 憲法改正の手続きのための国民投票法案が成立した。様々な意見があろうが、改正にはどういう手順が必要かを決めておくというのは反対すべき問題ではないと思っている。それより疑問に思うのは民主党の会見である。生活が厳しいこの状況でもっと他に議論すべきことがあるだろうという物言いであるが、これを日本国民の何%が実際にその通りと思うのだろうか。

 巷には食料も電化製品もあふれている。テレビや洗濯機、冷蔵庫、さらにはエアコンがない家庭を探す方が困難ではなかろうか。贅沢をあげればきりがないが、ささやかに、つつましやかに生きようと思えばそれは叶う日本であろう。平均寿命はもとより、衛生環境も各種サービスでも世界のトップクラス。これで生活が厳しいなどと言えば、世界の貧困国から大ブーイングを浴びるのではないか。

 政治は生活だと言うが、大衆に媚びているだけでは生活を安定させることなどできないだろう。10年先、いや数十年先を見据えて国民の生活を安定させるのが政治であるはずだ。医療や福祉の問題などを争点の第一候補にあげるべきではない。なぜならそれらは国家の根幹をなすものではなく、財源が確保できなければまず真っ先に切り捨てられる運命にあるものだからだ。まずは国家が存続できうるかどうかが問われなければならない。そのためには食料とエネルギーをどうするかであろう。どちらも国内でまかなえる状況ではない。とするとそれをどう安定調達するのかが政治の要となろう。

 今の世界を見渡せば、先進国に以前の勢いはなく、発展途上国がどうなっていくのかで世界が変わるという見方ができるであろう。その中で正に今空前の発展に湧いているのが、中国・インド・ベトナムであることは周知の事実である。つまりアジアの変化が日本の将来を左右すると言って過言ではない。

 とりわけ中国の発展はめざましく、特にオリンピックや万博を控え、不動産を中心に急峻な右肩上がりの発展を遂げている。この状況をバブルと表現する人も多い。そして2011年の上海万博以降でバブルは弾けるだろうという予想を立てているらしい。もしかしたら2018年のサッカーワールドカップが中国開催となればそこまで長引かせることが出来るかもしれないが、それでも中国の発展が停滞期になった時を懸念する声が高まっているのだ。

 内政が心許なくなると国民の目を外に向けようとするのは世界の常識だ。中国が外を向くとすれば、台湾、北朝鮮、日本、インド、ベトナムといった国境を接する国々に対してであろう。特に台湾は独立を企てる危険分子に相違ない。停滞し、バブルが弾けた場合に最もきつく締め付けなくてはならないのは台湾の独立阻止であろうことは想像に難くない。その時アメリカは台湾の味方をすると既に表明している。アメリカが力を貸せと言ってきたら日本はどうするのか。また台湾が防衛のため力を貸してくれと頼んできたらどうするのか。そこを真剣に議論しなくてはならない。台湾に中国海軍が常駐するとなると東アジア軍事バランスは崩れる。アメリカの睨みが利かなくなりフィリピン・インドネシア・マレーシア・シンガポールなど日本のシーレーンが脅かされることになる。傍観者でいて良いことは一つもない。中国に味方しても相手がそれを義と感じることはないであろう。ならば台湾かというと中国と戦争することになってしまう。

 中国が暴力に打って出ないように図る方法は、周りを囲むことだけだ。そのために日本はオーストラリアと同盟を結び、インドとの関係を強化しているのだ。もちろん東アジアに睨みを利かせるアメリカ軍を絶対に撤退させてはならず、日本の国益のため沖縄ないしはグアムにアメリカ軍の大部隊が必要なのだ。その上で、同盟国として守ってもらうだけではなく、自らの汗を流すため自国の軍が動きやすい環境を整備しなくてはならない。現行憲法ではそれは無理だ。改正のできる手続きを放ったらかしにしていて良いわけがない。

 政治判断として憲法を現世界情勢に合わせたものに改正することが第一義にあげられなければならない理由はこう言ったことにあると考える。もし国のためにとか、国を存続させるためにという言葉が気に入らないという人がいたら、自分の生活をよく考えてもらいたい。水も電気もガスも、歩く道も食料もすべて日本という国あってのことであるということを。もし日本が中国の一部になったら、おそらくそれらすべてが満足に与えられることなどないであろう。そういうこと全部をひっくるめて考えるのが政治ではないか。

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コメント

戦後の日本は 9条でもってきた。
事実であろう。
無益な消耗戦をすることもなく
主力を経済発展に注ぐ事ができたが
日和見的な憲法解釈は もう限界です。
米不足 エネルギー不足 弾薬不足の中で
暴走した過去があるから
同じ轍は踏まないに決まっている。
そう願いたい。

投稿: 犬と猿 | 2007年5月15日 (火) 13時51分

9条で平和が訪れるならば、世界各国が9条を取り入れているはず。
現実はそうではないから、日本の平和は9条のおかげでもなんでもないと思います。
戦後60年の日本の平和は、日米同盟の核の傘の下にあったこと、そのおかげで「日本だけ」が平和であったことをもっとよく考えるべきではないでしょうか。
世の中が平和でいることに越した事はないと思いますが、日本一国の平和だけを求めるのならずいぶん傲慢です。
また現実に、北朝鮮に拉致されている国民がいる以上、平和とはいえないのではないのでしょうか。
よく健康オタクがサプリメントを何十錠と飲みながら「健康のためなら死んでもいい」と言う人がいますが、憲法9条にこだわる人は「憲法の為なら死んでもいい」「平和のためなら迷わず戦う」といった論理矛盾を起こしているような気がします。

投稿: ゆきたん | 2007年5月15日 (火) 16時03分

9条の精神は理想ではありますが、残念ながらそこまで人間は成熟してはおりません。

私達は友達が危機的状況にあろうと、車内で女性が暴漢に乱暴されていようと、少しでも自らの身に危険が及ぶ可能性があると平気で見て見ぬ振りをする国民になってしまいました。
この情景がどこか9条とダブってしまうのは私だけでしょうか。

改憲して堂々と戦争しようなんて言ってるんじゃないですよ。

投稿: やぶ | 2007年5月15日 (火) 17時57分

犬と猿さん

 経済発展に全精力を注ぐことができたからこそ今の平和日本があるということに異論はありません。それと引き替えに自尊心という大事なものを無くし、利己主義に染まってしまったように思います。

 日本の国が、国民がどこへ向かおうとしているのか、それを指し示す憲法を作るというのもあってよいのではないでしょうか。

投稿: クーデルムーデル | 2007年5月15日 (火) 19時58分

ゆきたんさん

 おっしゃるとおりですね。私が毎日楽しみにしているブログ『デリケートな問題』では憲法9条を以下のように表現していました。

 「60年の保証つき!少しの負担でガッチリ安心タイプの保険です」とのこと・・・(苦笑)

 でも日本以外にどこの国もこの保険を採用しない現実を考えなくてはなりませんよね。

投稿: クーデルムーデル | 2007年5月15日 (火) 20時07分

やぶ先生

 そうなんです。誰も戦争しましょうなんて言っていないのに、改憲反対論者は戦争しようとしていると煽動するのです。そして自分のけつを自分で拭けないこの国は、自分だけ良ければよいという国民であふれてしまったようです。

投稿: クーデルムーデル | 2007年5月15日 (火) 20時14分

この問題は 昭和を総括する程の大テーマで
無関心ではいられないが 歴史上 軍備の充実を怠って 滅ぼされた国もあるから気が抜けない。
世界の上位に位置する自衛隊を持ちながら
かつ 日米同盟を維持して 平和憲法も
守りたい。
生活水準も維持したい。そして国民としての自尊心も持ちたい。

目が廻ります。 中国インドを睨みながら
時代を泳ぎ切らないと沈没します。

投稿: 犬と猿 | 2007年5月16日 (水) 12時03分

犬と猿さん

 本当にそうですね。欲張りではいけませんが、ぼーっとしていては時代を泳ぎきるのは結構難しいかもしれません。

投稿: クーデルムーデル | 2007年5月17日 (木) 21時07分

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