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2007年4月10日 (火)

軽量ベビー

 先週265gで出生した赤ちゃんが無事退院したという報道があったと喜んでいたら、本日は1103gの児の大動脈と肺動脈の置換術が成功したというニュースを聞いた。

 小児科医に成り立ての頃は、自分の知識と技術を磨くことが患者さんの苦痛を和らげる一番の近道と考え、どん欲にいろんな患者さんを受け持っていた。低出生体重児の管理もその一つで、朝から晩まで赤ちゃんと格闘していた頃を思い出す。もう10年以上前のことだけれど、あのころ570gで産まれた子供を大事に大事に大きくして、無事退院していく姿を見たときは涙が出た。他にも800gで産まれてしばらくして重度の肺炎にかかり、生死を彷徨った子供が無事退院し、その後小学校に通う写真を送ってくれたのにも涙が出た。

 もっと小さな子供達を助けたいと思い、未熟児新生児学会のセミナーに参加して驚いた。参加者は皆小児科医ではなく新生児科医を名乗る人達ばかり。500gは当たり前の世界で仕事をしている人達ばかりであった。次々と明らかになる新生児科医と自分(そのころ既に小児腎臓を専門にしようと志していた)との技術の差・・・周りからは「腎臓を専門にできる新生児科医は稀少だから頑張って。」と励まされるものの、これは片手間に足やら首を突っ込んでよい世界ではないと確信した。

 結局逃げ出したようで後味が悪いのではあるが、自分の判断は間違っていなかったと思う。その分野で日夜努力を続ける人達がいるからこそ、かの265gの子供も育つことが出来たのであろう。頭が下がる思いである。

 さて私はこの児を育てた新生児科医のように日夜努力を続けているだろうか。ギリギリの所で格闘を続ける彼らに脱帽するばかりではダメなのだ。こちらの世界で負けないように努力することは出来るはずだ。

 褌を締め直すことにしよう!

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コメント

母親はおなかで大事に大事に
命を守ってきます。
どんなに大切に守っていても
何かあるときはある。

そんなとき自分を責めるんです。

お医者様は
小さな小さな人を救うのと
同時にお母さんも救ってくれるのです。

本当にありがたいことです。

投稿: チョコひげ | 2007年4月11日 (水) 08時35分

チョコひげさん

 カンガルーケアって言葉をご存じでしょうか。小さく産まれてしまった赤ちゃんは自分で体温を調節したり出来ないので保育器という透明な箱の中で育てられます。箱の中は計器類の音ばかりが響いているはずです。そんな中で安心して眠っていられませんよね。状態によりますが、そんな赤ちゃんの傍でお母さんに座って頂き、保温に気を付けながら抱っこしてもらうことを上記のように言います。お母さんの心音・ぬくもり・声すべてが赤ちゃんを癒します。同時にお母さんも我が子への愛情を増大させ、母乳の分泌を促してくれます。その母乳を飲めば赤ちゃんは免疫力も獲得することが出来るのです。

 そこは小児科医も新生児科医も立ち入れない世界なのです。

投稿: クーデルムーデル | 2007年4月11日 (水) 08時52分

新生児医療・・・その昔、準夜帯でこども病院への転送に付いて行くことになった私。
申し送りはドクターが行いましたが、その間待っていたICU・・・小さい体にたくさんのルートや医療機器がついた想像を超える世界。そのすごさに足がすくんだのを今でもはっきりと覚えています。

そして思ったこと・・・『自分には病気のこどもを看る勇気がない』ということ。

・・・まだまだ未熟な私です。

投稿: ゆき | 2007年4月11日 (水) 14時46分

ゆきさん

 ある程度は慣れていくものです。なんとかしなきゃこの子は生きていけないと思うと自然と手と足が動きます。

 でも経験を積んだスペシャリストでないと到達できないところがここにもあるのです。

投稿: クーデルムーデル | 2007年4月11日 (水) 22時18分

小児科の看護には全然携わっていませんが、自分の子供を通し小児科の先生には何度も助けていただいています。本当にありがたいことです。

1103gの赤ちゃんは手術が成功してよかったですね。日本はすごい国なんですね。我が子供が同じような状態であれば、日本国中専門医を求めて駆け回ることだろう。親としてできることを探してしまうから。
術後が安定し無事に退院できるように願っています。

すみませんが、先生のご専門のことでお聞きしてもいいでしょうか?

免疫抑制剤内服中でインフルエンザにかかったら、タミフルを処方されるのでしょうか。
10代は禁止と言う事であれば、処方は難しいのでしょうか?
ステロイド治療による骨のもろさは、どのくらいの期間注意が必要なのでしょうか?

すみませんが、教えていただけますか?


投稿: 厚焼き玉子 | 2007年4月11日 (水) 23時06分

厚焼き玉子さん

 免疫抑制剤内服中ならばものにもよりますが、まずは流行前にインフルエンザワクチンを本人と家族に接種してもらっています。これはまだ確証を持って行なっているものではありません。ですがそのうちある都立病院から抗体獲得についての報告が出されるはずです。

 もしかかってしまったならば、タミフルの内服を薦めます。重症化を防ぐ目的でのことです。本来10代の子供達に必要な薬ではありません。しかし重症化しやすい免疫抑制剤内服下の児や呼吸器疾患/心疾患の患児には積極的に使うべき薬と認識しています。

 ステロイドによる骨粗鬆症は量と使用した期間に左右されますので、一概には言えません。骨密度などを測定しながら決めていきます。もっともステロイドを止めるとすぐに身長が伸び始めますから、骨の代謝速度などを考えても半年経てば思春期前の子供ならば問題はなくなります。また我々の使用法ならば、使用中から運動は問題なくできます。もちろん普段やらない格闘技や心身ともに限界に挑戦するようなハードな運動は別です。
 

投稿: クーデルムーデル | 2007年4月12日 (木) 00時51分

予防接種は先生によっては意見が違いました。もし、インフルエンザに今後かかったときには、タミフルの処方は親に委ねられどうしたらよいか悩むと思います。参考とさせていただきます。
運動も制限をしているわけではないのですが、新たなスポーツを考えていましたのでこちらも参考にさせていただきます。
ありがとうございました。

投稿: 厚焼き玉子 | 2007年4月13日 (金) 05時39分

厚焼き玉子さん

 おそらく予防接種については異論があることでしょう。少なくとも生ワクチンについては免疫抑制剤投与中はやってはいけないという原則がありますが、不活化ワクチンについては議論されているところです。

 タミフルも本来報道されているほど危険なものではありません。もしご心配ならば年長児にはリレンザの吸入という手段もあります。

 スポーツに挑戦する気持はとても良いことだと思います。始める前にひと言主治医に声を掛けて頂ければよいのではないでしょうか。少しずつ出来る範囲を広げてみて下さい。

投稿: クーデルムーデル | 2007年4月13日 (金) 08時45分

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