« 機械じゃないよ | トップページ | double standard »

2007年4月17日 (火)

選んで頂きありがたいのですが

 30をちょっと越えたお母さん。ひょんなことで小児科で腎生検をすることになった。

 このお母さんの子供二人が腎盂拡張と軽度の血尿のため私の外来に通っている。これまで家族に腎疾患はいないとのことであったが、半年前に

「実は・・・私、中学の時に蛋白尿がでてるって言われて近所の医者に行ったのだけれど、結局気にしないで良いって言われて・・・妊娠中にも蛋白尿が結構出ていて、でも妊娠のせいって言われて・・・どうなのかわからないのだけれど、私ってどうなんでしょうか。」

ってカミングアウトされた。

 それから半年間尿検査をしていくと、中等度の蛋白尿(一日0.5~0.8g)と軽度の血尿を認め、この度腎生検をしてもらうことになった。本来内科でしてもらう年齢なのだが、腎生検の後少なくとも翌日まではベット上で安静にしてもらわなくてはならないと告げると、まだ夜に母乳をあげないと子供が眠れないのだという。とすると内科にお願いして内科の病棟で子供と二人入院してもらうわけにいかない。それならば小児科で子供も大人も入院してもらって、その上で腎生検はどうか・・・となり、双方の了承のもとつつがなく腎生検を終了することが出来た。結果として治療が必要ならば内科でしてもらいましょうと説明して退院して頂いたのだが。

 先日結果が帰ってきてIgA腎症という疾患であったことが判明した。糸球体の変化は微小なものであったが、間質部分の硬化がかなりあり、妊娠&出産の影響か、それともIgA腎症のなれの果てかという所見も認めた。このためARBという血圧に作用する薬を飲む以上の治療を必要とはしないのだが、長期に渡る経過観察が必要であり、内科に通ってもらいましょうと告げた。すると

「先生はあと何年くらいこちらにいますか。」と問うてきた。少なくとも10年以上はいるつもりだと言うと

「内科の紹介してもらえる先生はどう?」と問い直す。人のことはわからないが10年ぐらいはいるのではと言うと

「うちの子供達は成人するまで先生に見てもらわなくちゃならないですよね。その間小児科に通いますよね。同時に内科と小児科にかかるのはとっても大変。できたら先生に診てもらえれば一石二鳥。先生は大人は診てくれないんですか?」とのこと。

確かに小児科は小児期に見始めた子供達の疾患が慢性であった場合、成人してもそのまま見続けるケースが増えている。様々な理由があるが、こういったキャリーオーバー例はどんどん増えているのが実状である。それでもいきなり成人からというのは・・・・・

 成人特有の疾患や婦人科系統の疾患への対応が小児科医の私では遅れる可能性をお話ししても、こちらでと言われ、来月の小児科予約もして帰っていった。小児科医のこういった優柔不断さがキャリーオーバー症例の小児科居座りを許してしまっているのであろう。患者さんの紹介はもう内科Dr.に話してあるのに、困ったな・・・・・・

|

« 機械じゃないよ | トップページ | double standard »

コメント


当のお母さんのお気持ちはわからなくもありませんが、すごいことを考えますね(笑)・・・先生、ご自分でも仰ってる通り成人特有の疾患・婦人家系への対応についてもう一度お話して、はっきり内科医での治療を勧められたほうがいいのではないでしょうか・・・(苦笑)。

それにしても・・・ここまで信頼をいただけるってありがたいですね!!!

投稿: ゆき | 2007年4月17日 (火) 14時27分

ゆきさん

 family doctorという観点からすると、ヘンテコなわけではないですが、それ相応の治療をというケースではねぇ~

 ずっと気に入ってもらえる医療を提供できればよいのですが。

投稿: クーデルムーデル | 2007年4月17日 (火) 16時10分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/144860/6121793

この記事へのトラックバック一覧です: 選んで頂きありがたいのですが:

» 内科医VS外科医 [ライバルVSライバル]
内科医の人気上昇中!・・・「医療訴訟」のリスク回避!? 医師国家試験に合格して医師免許を取得すれば、専門とする診療科目は各自の自由意志で選択することができる。 泌尿器科医になるのも本人次第だが、医学生には内科医と外科医が人気だという。 内科は需要が多く、個人開業する場合も外科系の病院ほど設備投資が必要なく、将来性を見込んでの選択だ。 外科の魅力は「人の命を預かっているんだ」と実感できるところにあるが、手術などで拘束される時間が長く、肉体的にもハードだ。ささいなミスがそのまま...... [続きを読む]

受信: 2007年5月 8日 (火) 21時18分

« 機械じゃないよ | トップページ | double standard »