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2007年4月18日 (水)

double standard

 自衛隊の兵隊さんがイージスシステムの情報を他国へリークしたという問題で海上自衛隊が揺れている。国の防衛を担っているものが、国を危うくするとは何事だというのだ。一方で憲法9条を書き換えることに猛反対をしている人達がいる。日本は軍隊を持たない、平和な国宣言なのだという。

 前者は許されるべきものではない。aegis systemは防衛のための神の盾だ。盾をなくせば無防備となることは自明であろう。systemのどの程度までがリークされたのかまで国民に知らせる必要は薄いが、厳罰に処すべき問題であろう。しかし同情に値するところが自衛官にないかというと、後者の問題が潜んでいる。

 現在自衛隊は憲法上規定されたものではない。国を防衛する権利という拡大解釈の中に存在する。それ故、国内では今でこそ理解のある人が増えたが、クソミソ扱いを受けることも多い。しかし国外では国を代表する軍隊として礼を尽くされる。海上自衛隊は Japan maritime self defense forceだが、海外の港に入港すればJapan navyとして国賓扱いである。しかし海上保安庁の船が入港してもJapan coast guardに対する儀礼は一切ない。日本の警察が海外に出向いて捜査をする際、特別に敬意を払われることがないのと同じである。兵隊さんは命の危険を顧みず国を守ってくれているのだ。その崇高な使命に対し、敬意を払わないというのはおかしいのではないか。「勝手にやってくれ、俺たちはお前達を認めない、それでも敵に情報を渡すようなバカな真似はするなよ、義務は守ってもらう!」というのはいかがなものか。

 少なくとも憲法で自衛隊(軍隊)&国の防衛を規定し、兵隊さんも立派な仕事だと教育するべきではないだろうか。知事が「人殺しの練習をしている。」などと発言するのは言語道断!半世紀以上に渡って軍を否定してきた国民の姿勢が産んだ発言と言ってもよいだろう。中国軍の艦艇が日本の領海をかすめて航行し、ロシアの戦闘機が領空侵犯を繰り返し、アメリカの原潜が日本領海内で潜行を続け、中国と北朝鮮のミサイルが日本を標的にしていつでも発射できる態勢にあるこの時代に、自国の軍隊を否定していてなんとするというのか。

 「他国へ攻め込め、人臣を蹂躙せよ、大日本帝国の夢を再び!」などと言っているのではない。そのように思っている自衛隊幹部、大臣、官僚は皆無であろう。軍が全権を掌握することないよう、シビリアンコントロールを利かせればよいのだ。確かに日本は右へならえとなってしまう傾向の強い民族だが、だから防衛力など危ないものはいらないというのは極論だ。世界はどう外交努力を続けても紛争が絶えない。アフリカでもヨーロッパでもアメリカでもアジアでも紛争は起きているのだ。人間に業がある限り、この紛争は耐えることはないだろう。それならば起こさせることのないようしっかりと守りを固め、睨みを利かせることこそが平和を望む国民のすべきことであろう。

 兵隊さんを崇め奉れというのではない。軍隊が国を守るために存在しているのだと皆が認め、平和国家として世界に奉仕するという姿勢を国の施政方針である憲法に記載すべきではないかと思うのだ。その上で自衛官に襟を正すよう促すというのが筋ではないか。  

 

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コメント

本当を言えば軍隊なんてない方がいいに決まってるんですが、今はそれほど人間は成熟しておりませんからね。特に近くの国々は・・。

私も自衛隊の方々にはもっと敬意を払うべきだと考えます。また、尊敬されてしかるべき人達であってほしいです。

投稿: やぶ | 2007年4月18日 (水) 11時06分

やぶ先生

 平和憲法のおかげで攻められることが無かったなどとのたまう人達の暢気さ加減にはあきれます。国境警備にどれだけの労力が払われているのか・・・そんな状況もなく、いずこも私利私欲を捨てられれば軍隊はいらないのですが、放っておくと日本はもともと我が国の移民による国だから併合すると言い出しかねない隣国がいることを肝に銘じるべきだと思います。

投稿: クーデルムーデル | 2007年4月18日 (水) 19時18分

こんばんは

国を守るということは、現在の日本の一般的な認識からいうと、『そんなに大変なことではない』ということになるのでしょうね...。でも、実際はそんなに容易いことではありません。人間がスゴく成熟していて、防衛力がなくても侵攻しないというのであれば別ですが...。

他国に侵攻する権利は認めなくてもいいのですが、『自国を守る権利』は憲法でキッチリと認めるべきであろうと考えます。そして、それがなければ、他国の侵攻があった場合に『抵抗せずして自滅すること』を文句もいわずに認めることになるでしょう。

自衛隊の方々は、国を守るため万一の場合は『命を捨てる』職業です。もっと、敬意を払い、存在を認めなければいけないと思います。

投稿: いなか小児科医 | 2007年4月18日 (水) 21時16分

いなか小児科医さん

 そうなんです。万一の場合は命を捨てるという職業なんです。そんなバカな職業は今すぐなくせと言うことがどれだけ現実を直視していないか知るべきなんです。自衛官がなにをやらかしたというニュースより必要なのは、我が国を脅かそうとする行動がどれだけなされたかを伝えるべきではないでしょうか。何より情報が一方的過ぎるのです。

投稿: クーデルムーデル | 2007年4月19日 (木) 08時09分

本当にその通りだよね

僕が伊丹の第3師団に所属していて、イラクに派遣されるときも、出発する空港のことでとても情けない思いをしました

国を代表していくのに、すぐ目の前の伊丹空港の労働組合が反対して、使用することができなかったのです

それじゃあ関西国際空港ということになったのですが、そこにおいても旅客ターミナルは不可、、、貨物ターミナルから出て行きなさい、ということになったのよ

これじゃあ、万が一隊員が殉死することがあっても浮かばれないなあ、と思ったのを思い出しました

投稿: 目黒駅前クリニック院長 | 2007年4月19日 (木) 13時08分

皆さんの意見も よく分かりました。
自衛隊も必要だし 憲法改正も必要ですが
シビリアンコントロールも必要です。
この役割を果たすのは議会なのです。
議員一人ひとりなのです。
議会を無視して暴走した 戦前を忘れてはいけませんよね。

投稿: 犬と猿 | 2007年4月19日 (木) 18時02分

歴史音痴なので見当外れかもしれないけど,戦前に議会が蹂躙された事なんてありましたっけ?むしろ日本全体で万々歳って言ってたんじゃなかったでしたっけ?更にはその世論を煽っていた最右翼が朝日新聞じゃなかったでしたっけ?

投稿: 職人 | 2007年4月20日 (金) 08時28分

目黒駅前クリニック院長殿

 そうでしたか・・・イラク派遣は本気で死を覚悟していたと思います。それなのに・・・

 違った意見の持ち主も認めるのが民主主義であることは間違いありません。しかしせめて気持ちよく花道を送るという行為が自然発生してしかるべきなのではないでしょうか。どう扇動しようとも自衛隊がイラクの人達を殺めに行くのではなく、危険な地域に留まり、インフラの整備のために行くというのがわかっていたのですから。
 
 やはり憲法で規定すべきですね。

投稿: クーデルムーデル | 2007年4月20日 (金) 09時01分

犬と猿さん

 もちろんおっしゃるとおりシビリアンコントロールははずせるものではありません。民主主義で選んだ国民の代表が議論を尽くし、軍のあり方と活用法を決めるべきでしょう。軍の一人歩きは避けなくてはなりません。

 しかし、戦前の日本は軍だけでなく、日本全体が大東亜共栄圏・八紘一宇の精神に舞い上がり、大手新聞もこぞって煽っていたという事実がありました。憲兵による言論弾圧があったためだという人達もいますが、日本全体が熱病のようになっていたことも間違いないでしょう。

 私は軍は必要だが、すべてが右へならえという考えに陥る日本の精神社会を不必要なものとして排除できないものかと考えています。それ故、時々マスコミによる扇動に対して異論を唱える記事を掲載しているのです。

投稿: クーデルムーデル | 2007年4月20日 (金) 09時18分

職人さん

 まさしくその通りです。議会は機能しておりましたが、陸軍相たる東条の日米開戦論に手を焼き、陸軍の暴走を食い止めるためにあえて東条内閣を作ったとされています。東条が憲兵や特警隊をやたらと使って恐怖政治を行ったから開戦が始まってしまったと誤った時代認識があるようですが、彼が憲兵達を使って言論弾圧をし始めたのは、戦局が下降線となってからの話しです。混同してはいけませんが、当時白色人種の横暴をはね除ける術を持っていたのは日本だけで、その精神を民族揚げて賛成していたのも事実です。その行為を否定しているのは、タカ派の白色人種たちと、中国・韓国の人達です。東京裁判でもインドの判事など当時の日本を含むアジアの情勢をよく知った上で、東条らの戦犯行為はなかったと言ってくれています(詳しくは東条の手記などを読むとよいです)。

 当時の日本がどうであったか、知識人と言われる人達の回想録を読んでも、脚色されている可能性があります。一般人の意識として、町の小売り酒屋の7男坊として産まれ、戦時中に小学生だった私の父の話を聞く度に、上記の状況が目に浮かんできます。

 長くなりました。とりあえずこのあたりで。

投稿: クーデルムーデル | 2007年4月20日 (金) 09時49分

誤解されたようなので「議会のあるべき姿を無視して」と加筆します。

課題の多い時代でしたね。
ここで簡単に論じられるテーマではありませんね。

投稿: 犬と猿 | 2007年4月21日 (土) 16時58分

犬と猿さん

 う〜〜ん、こういう場所で討論するのはよいことだと思っているのですが、いかがなものでしょうか。
 
 東条内閣が恐怖政治により独断・独裁となっていったという風にとらえていた方が、日本人にとっては誰が悪かと言い易いというところがなきにしもあらずです。日本全体が熱病に冒されていて、議会がその機能を失ったとすると、今後の日本はどうなってしまうのかという懸念が生まれます。どうも我々が常にマークしておかなくてはならないのは、前者の独裁者の出現より後者のように思えてなりません。

投稿: クーデルムーデル | 2007年4月21日 (土) 18時05分

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