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2007年1月10日 (水)

Telomelysin(OBP-301)

 昨夜なんの目的もなくテレビをつけると岡山大学の先生が登場していた。よくよく見るとたけしの家庭の医学という番組らしい。テロメライシンというウイルスを使った癌治療についての話しが行われていて、ついつい見入ってしまった。

 我々小児科医は固形腫瘍を患う患者さんが少ないため、どうしてもそれに対する勉強が不足してしまう。それでも癌の部位を発光させて見分けるテロメスキャンというものを以前に聴き、テロメラーゼ発現細胞について調べたことがあったのでそれの応用だろうということは想像できた。発表されたものによるとテロメライシンとはヒトテロメラーゼ逆転写酵素(hTERT)プロモータをアデノウイルス5型のE1領域に組み込んだ制限増殖型の腫瘍殺傷ウイルスであり、テロメラーゼを発現している細胞に感染し、増殖し、破壊してしまうというものらしい。番組ではこの薬の研究が実際に人へ使用する段階に入ったことを映し出していた。

 副作用もないと思われると強調されていたが、テロメラーゼは生殖細胞や骨髄の幹細胞でもわずかに認めるため、そのあたりが気になるところである。もっとも細胞が分裂を繰り返した末に自己融解していく仕組みが本来の正常細胞であり、この自己融解システムを妨げるのが癌細胞に存在するテロメラーゼであるから、やはり癌細胞に特有と言ってよいのであろう。それにテロメスキャンではこれらの細胞が映し出されるという話しにはならなかったので、心配はないのかもしれない。また固形腫瘍だけでなく白血病細胞でもテロメラーゼが発現しているので、この薬が安全に使用できるなら白血病を患う子供達にも大変有効な薬ができることになる。待ち遠しい限りだ。

 それにしても癌で人が死ななくなったら、どれだけの高齢化社会が繰り広げられることになるのだろうか・・・・それはそれで恐ろしいのかもしれない。。。

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コメント

おお、久しぶりに来たらたいへん難しいお話でした。

もう10年以上前になりますが、世の中から癌が亡くなると・・なんと平均寿命が3歳延びる・・らしいです。
思ったより長くならないんですね。今はどうか知りませんが・・。

投稿: やぶ | 2007年1月11日 (木) 15時40分

やぶ先生

 ええっ?そんなもんなんですかねぇ?でもよく考えると3歳延びるってことはやっぱりどえらいことですよ。
 それよりこんな薬が出来たら外科医の出番が相当減って、考え方がガラッと変わってしまいそうですね。

投稿: クーデルムーデル | 2007年1月11日 (木) 18時15分

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