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2007年1月18日 (木)

悲しみ

 都立病院で研修していた頃たいへんお世話になった先生が40半ばの若さで亡くなってしまった。昨日その訃報を聞いたときは力が抜けて、何も手につかなくなってしまった。

 一昨年の秋にとある学会で顔を合わせた時になにやらいつもより青白い顔をしているように思え、「先生、いつにもましてかげろう度がアップしてますよ。」と軽口を叩いたことを思い出す。その後癌が発見され、一年余りの闘病生活を送られたが、その間も病院でいつも通りに働いていらっしゃった。先日も患者さんの相談に伺うと、真剣にいろいろと考えてくださった。化学療法でつらいはずなのにである。

 先生はいつでも病院にいらっしゃった。家は病院の隣にある官舎だったこともあるだろうが、夜中だろうがいつでも何か困ったことが起こるとどこからともなく(かげろうのように)表れるお助けマンであった。どんなに大変な状況でも決してあきらめることはせず、どこにそんな体力があるのかと思われるほど患児達の傍で何日でも命を救うべく立ち向かっていらっしゃった。また仕事が一段落した後、実験も積極的に行っていて、私も時々動物実験をご一緒させていただいた。今考えてもいつ眠っていたのかわからないほどであった。

 医学に対する真摯な心、深い洞察力とあきらめない精神力、なにより鋭い行動力など本当に学ぶことの多い先生であった。その上ちょっとエッチでユーモアもあった。看護師さん達の人気も高く、先生の周りはいつもにぎやかだった。

 今はただご冥福をお祈りするしかないことが残念でならない。

 先生、ありがとうございました。

 安らかにお眠り下さい。

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コメント

ううむ、こういう記事を読むと、いい方から病に倒れて行くような気がする。
私が元気なのは複雑ですねえ。

今日も、癌になったドクターの話を聞きに行きます。

投稿: やぶ | 2007年1月18日 (木) 17時22分

ブログで医者の世界を垣間見て
想像を絶する激務であると知った。
医者の不養生にだけは ならないで下さい。

投稿: 犬と猿 | 2007年1月18日 (木) 21時20分

やぶ先生

 先生に元気がないとみんなが不幸になりますから、そのままでいて下さい。

 医者の寿命は短いですね。特に産科医は50才台と聞きます。

投稿: クーデルムーデル | 2007年1月18日 (木) 22時18分

犬と猿さん

 どの職場でも同じだと思いますが、忙しい時は省みる事などなしに通り過ぎていきます。養生しようなんていう感覚がないままなんですよね。気がつくと大変な事になっていたというのはよくある話でしょう。幼い子供を残してしまったら悔いが残ると思いますが、やり遂げたという人生もありなのかもしれません。それでも40半ばはダメですよね・・・残された奥さんと娘さんが不憫でなりません。

投稿: クーデルムーデル | 2007年1月18日 (木) 22時27分

はじめまして。。。
先生は、医者の不養生にはならないでくださいね。。。
今、気になっているあの先生のこと、思い出しました。。少しお痩せになったようで。。。
慢性の病気を持つ患者は、先生のなんとな~く??って感じを察知してしまうものです。いつまでも、私達の主治医でいてほしいです。

投稿: tomo | 2007年1月18日 (木) 22時32分

こんばんは
クーデルムーデル先生

辛いですね...。産科医だけでなく小児科医も短命であるのでは?と思うことがあります。お互いに厳しい職場でありますが...息をつける時はつき、体を労りながらやっていきましょう。

この先生の御冥福をお祈りさせていただきます。

投稿: いなか小児科医 | 2007年1月18日 (木) 22時41分

素敵な先生だったんですね。

これからは新たなる道をゆっくり
歩んでいただきたいです。
ご冥福をお祈りしています。

投稿: チョコひげ | 2007年1月19日 (金) 00時39分

tomoさん

 初めまして。これからも宜しくお願い致します。

 やはり気になりますよね。毎日顔を合わせるわけじゃないから余計に前と違うと気になりますよね。私たちも同じです。患者さんの顔色や立ち居振る舞いの違いから今日はどうしたのかな?って思うことがよくあります。そこから始まる医療が確かに存在します。

 主治医の先生に思い切ってお尋ねになってもよいかと思いますよ。

投稿: クーデルムーデル | 2007年1月19日 (金) 08時27分

いなか小児科医さん

 小児科医はまだ季節労働者のような側面がありますから、冬場を乗り切ればっていう気楽さが多少ありますよね。それでも先の都立病院は年がら年中重傷者を管理していましたから、働いていたときは本当に大変でした。かの先生はそれをひっぱる医長をなさっていたので、無理がたまってしまったのだと思います。

投稿: クーデルムーデル | 2007年1月19日 (金) 08時31分

チョコひげさん

 先生は学生時代に冒険部に所属して空を飛んでいたとのことでしたから、おそらくこれから飛びまくるのではないかと想像しています。

投稿: クーデルムーデル | 2007年1月19日 (金) 08時34分

先生のご冥福を心よりお祈り申し上げます。

おととし亡くなった、うちの脳外科医も以前ブログにしましたが、50歳という若さ、そして癌でした。

その先生も諦めない、前向きな医師でした。
しかもちょっとエッチでユーモア。
人柄が似ていて思い出してしまいました。

クーデルムーデル先生、元気出してくださいね。

投稿: ゆき | 2007年1月24日 (水) 22時20分

ゆきさん

 う~~ん、なんとも元気がでません。ブログも書く気力が出ないんです。済みません、もうちょっとお時間を。

投稿: クーデルムーデル | 2007年1月25日 (木) 08時25分

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