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2006年11月21日 (火)

デモ

 顕微鏡画像をパソコンモニターに表示し、デジタル画像取り込みを行う器械を売りつけに業者がやってきた。

 我々腎臓を専門にしているとどうしても病理組織をネタに学会発表や研究会参加することになる。以前は写真に収め、ポジフィルムをそのままスライド投影するものであったが、最近はすべてデジタル化している。私は他院へ勉強に行く機会が多いので、その都度必要な組織をデジタル保存していたが、ようやく病院がその器械を買ってくれることになり、何種類かのデモ器がやってきているのだ。

 本日の業者Pは同系列の病院に本器械を納めている会社であり、信用できるとのことであった。私は丁度来週行われる研究会で病理組織を提示するため、このデモ器を使用しデジタル画像を作ることにした。

 大勢のP業者の人達の眼前で顕微鏡に標本を載せ、接眼レンズをのぞき込むと、患者さんの糸球体(腎臓の組織の一部)が映った。さてここがポイントと構図を決めて今度はモニター画面に目を移した。が・・・・ぼけとるやんけ・・・・

「Pさん、このままの画像で保存されるの?レンズの画像と違いすぎるよ。」

「はあ、この器械はいろんな施設で使っていただいてますので、問題ないはずですが。」

「そんなこと言ってもこれじゃあ使い物にならんよ。」とうちの事務が横槍を入れる。

「モニターがボロなんじゃないの?」とうちの検査課職員が突っ込む。

「じゃあ、取っ替えてみましょう。」と検査課の若手が駆け出す。

 そうこうして最新のモニターが運ばれケーブル接続されるとバッチリ鮮明な画像が表れた。

「Pさん・・・こんなモニター持って来ちゃダメだよ。買ってくれなくなるよ。」と私。

 平身低頭、冷や汗たらたらの業者Pを尻目に、必要なカットを何枚もデジタル保存し、私の用事は無事済んだ。あとは病院事務職員と業者との交渉になる。しかしあんなモニターを持ってくるようじゃ、信用もされないし値切られて当然に思うのだが、医療機器メーカーとはそんなものなのだろうか。生き馬の目を抜く業界とは一線を画した世界なのかもしれないと、牧歌的な雰囲気を感じつつ情けない気持ちになった。こういったところには医療でも競争原理・市場原理が働いて欲しいものである。

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コメント

ちょっとまずかったですねえ。試しに使用したのが先生でなければ、あるいは「概ねこんなものなんです」って誤魔化せたのかもしれませんが。
相手が悪かったなあ。

投稿: やぶ | 2006年11月21日 (火) 18時32分

接眼レンズとカメラレンズの間には距離があるのでピントは少しずれる事が多いです.モニター変えて解決する位だと相当なぼけっぷりだったんでしょうね.実際には取り込んだ画像をPCで開いて確認した方がいいですよ.また雰囲気が違ったりしますから.

投稿: 職人 | 2006年11月21日 (火) 21時30分

やぶ先生

 いやはや誰が見てもピンぼけでしたよ。糸球体の係蹄壁がメロンパンの表面の様に膨化してました。

投稿: クーデルムーデル | 2006年11月21日 (火) 23時04分

職人さん

 そのようですね。レンズを見て合わない場合はモニター上にピント補助インジケーターがついていて、それで判断するとの事でした。でも信用できないからあれこれ言ってきちんと合致するよう設定させました。まだ買うと決まったわけではないですがね。おかげでちゃんとした画像を手に入れる事ができましたよ。

投稿: クーデルムーデル | 2006年11月21日 (火) 23時07分

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